どう調べたら、そうなるの?内閣支持率のフシギな仕組み

いつの間にか回復中
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モリカケに飽きた人々

支持率の調査が行われた6月22~24日は、G7から米朝会談と、混沌とした世界情勢に一瞬の融和ムードが生まれた直後。実施の時期も数字に少なからず影響を与えているだろう。

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が語る。

「安倍総理は、世論調査で支持率が落ちると外交で巻き返す、というのが一貫した戦略になっています。

今年4月末の中東、5月のロシアに続いてG7、さらに7月中旬には欧州訪問と、モリカケ問題から脱却するために外交攻勢を仕掛けています。そして外交での成果は、安倍一強による長期政権のおかげだと暗に訴える狙いがある」

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支持率が増えた2つ目の理由は、特に支持政党を持たない無党派層の政治離れが強くなったことにあるという。

「モリカケ問題をめぐる国会審議では、与党は野党と熟議をしない、一方野党は与党に話を聞いてもらえない状態が続いています。野党は審議拒否するしかなく、最後は結局強行採決で決められる。

政府に好意的になったわけではなく、野党に対する支持が減ったとみるほうが正しいでしょう。

安倍政権の支持率を支えているのは『期待値』です。たしかにモリカケでは支持率が下がった。

でも野党に代わりとなる選択肢がないため、政府にとって少しでもいい動きが出れば、期待値が高まり、支持率の上昇につながります」(選挙ジャーナリストの高橋茂氏)

野党への失望感は数字に如実に表れている。野党第一党である立憲民主党の支持率は9%、第二党の国民民主党はまさかの「0%」という結果に終わった。

野党が吹っ掛ける水掛け論には飽きた。一方でなんとなく、海外でアベは頑張っているように見える。そうした非常にあいまいな空気が「世論」として、「過半数超え」という客観的な数字に化けるのだ。

 

冒頭で触れたような世論調査は、「RDD方式」とよばれる方式で行っている。これはコンピューターがランダムに発生させた電話番号にダイアルし、オペレーターによる聞き取りまたは機械音声によってアンケートを取るものだ。

質問内容は各メディアによって異なるが、たとえば「安倍政権を支持する場合は1を、しないという場合は2を押してください」と、全部で5分程度で終わる質問が6~7問、矢継ぎ早に続く。

「日経新聞の調査では、支持か不支持か『わからない』と答えた人が6%にとどまりましたが、これは調査手法によって大きく数字が変わってきます。

日経の場合、一度『わからない』と回答しても、『あなたのお気持ちに近いほうはどちらですか』と重ね聞きしてくる。そのため、支持と不支持どちらも高めに出る傾向にあるのです」(全国紙世論調査部担当者)

'16年以降の調査では、固定電話だけでなく携帯電話も世論調査の対象として各社取り入れた。

「なぜメディアがRDD方式をやるのかというとコストが安いからです。昔は有権者名簿を見て、面接訪問調査に行きましたが、全国でサンプル数を3000取るとしたら3500万円くらいのコストがかかり、面接調査員も全国で200ヵ所に派遣する必要がある。

一方、電話調査であれば20分の1程度のコストで済み、中央で一括管理もできます」(慶応義塾大学法学部教授の小林良彰氏)

携帯電話も含めたダイアル式での世論調査は、以前の形式とくらべて若い層のサンプルが増える。この結果、支持率にも多少の影響が出てくる。

長野県立大学教授の田村秀氏は次のように言う。

「支持率を測るRDD調査の場合、プラスマイナス5%程度のばらつきが起こる可能性はあります。これはどのメディアが調査を実施するかに関係なく起こりうるものです」