下手すりゃ倒産もある「学校法人・早稲田大学」の経営力研究

ハイリスク投資を決断した背景
週刊現代 プロフィール

元早大総長が答えた

大学は'32年の創立150周年に向けて、「財務体質の強化」を目標に掲げており、この計1億ドルの投資もその一環。早稲田の「変心」のひとつなのだ。経営コンサルタントの鈴木貴博氏が話す。

 

「気になるのは具体的な運用方法です。報道によれば、海外の複数の運用会社に委託して、海外の未公開株に投資するという。

未公開株に関する情報は一般に流通しているものではありませんから、専門家に任せるのは仕方ありませんが、なぜ未公開株なのかが疑問です。

未公開株への投資はハイリスク・ハイリターンで、その会社が成長して上場でもすれば大きな利益になりますが、反対にうまくいかなければ、投資した資金がゼロになる可能性もあります。

リスク管理が極めて重要なのですが、果たして運用を任せている会社がどれだけの能力があるのか。

そして、どこの会社に運用を任せるかを早稲田大学の誰が決定し、また運用結果を誰が随時チェックするのか。早稲田にこうした体制が整っているか不明です。

大抵は、金融の専門的な知識がない大学の担当者が、金融機関のセールストークを信用して任せているというケースがほとんどなのです。早稲田がそのような過ちを犯していないと祈りたいですが……」

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'08年、リーマンショックのあおりを受け、駒澤大学がデリバティブ取引で、約154億円の損失を出したことが話題になった。損失の穴埋めのため、駒澤大学のキャンパスやグラウンドを担保に根抵当権が設定された。

駒澤大学は「リスクの大きい取引に違法に勧誘した」として、BNPパリバ証券に約84億円の損害賠償を求めて提訴したが、東京地裁で敗訴している。

早稲田の今回の投資には「嫌な予感」が漂うのも事実だ。収入の二本柱が大幅に減り、財政状態が悪化。そこに多額の損失が重なったら――。

早稲田といえど、「倒産」のリスクと無関係ではない。'94~'02年に早大総長を務めていた奥島孝康氏が話す。

「海外の未公開株への投資というのは、深く考えての結論ではあるんでしょう。それでも、そういった領域に大学が足を踏み入れるべきではないと思います。私は賛成できません」

早稲田に対して、さらに心配になってきた。

「週刊現代」2018年7月14日号より