将来的には2割減もありうる!「年金カット」に今から備えよ

人生100年時代のマネーシフト(12)
加谷 珪一 プロフィール

公的年金の財政は慢性的な赤字

では、日本の公的年金の財政状況は実際のところどうなっているのだろうか。日本の公的年金は階層構造になっており、全員が加入する国民年金をベースに、企業に務めるサラリーマンが加入する厚生年金が加わる。

企業によっては厚生年金基金など、さらに金額を上乗せする制度を設けているところもあるが、公的年金制度の中核となっているのは国民年金と厚生年金である。

 

2016年時点において、現役世代から徴収した保険料の総額(国民年金と厚生年金の合算)は約36兆円となっている。これに対して、高齢者に支払った年金総額は51兆だった。

保険料と年金額の差額は15兆円もあり、現役世代から徴収する保険料だけでは到底、年金の支払いをカバーすることはできない。この部分については税金からの補填が行われており、年間、約12兆円が支出されている。

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これでも高齢者に支払う年金の全額をカバーすることはできないので、何らかの手当てが必要となる。この役割を期待されているのが積立金の運用である。

これまで公的年金の積立金運用は、安全第一ということで国債が中心だった。だが安倍政権はこれを抜本的にあらため、積立金の多くを株式などのリスク資産にシフトした。この結果、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は大量の日本株を購入し、GPIFは日銀と並んで、多くの日本企業において大株主となった。

今のところ株価は上がっているので、赤字の補填が出来ているが、株式の運用は本質的に市況に左右される。常に運用益が確保できるとは限らないので、財政当局は運用益に頼らずに収支を均衡させたいと考えている。今後、年金の給付額が減るのではないかとの懸念はここから来ている。