7月27日 インシュリンの抽出に成功(1921年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

カナダのトロント大学医学部の生理学者フレデリック・バンティング(Frederick Grant Banting、1891-1941)が、助手のチャールズ・ベスト(Charles Herbert Best 、1899-1978)と共に、膵臓から分泌されるホルモン、インシュリンを世界で初めて分離・抽出しました。翌年には、臨床実験によって血糖値を下げる作用も実証しています。

インシュリンという名前はラテン語で「島から採れた物質」を意味しているそうです。この「島」とは膵臓のなかに島のような形で散在する細胞群・ランゲルハルス島(膵島)のことで、こちらはドイツの病理学者、パウル・ランゲルハンス(Paul Langerhans、1847-1888)によって、1869年に発見されていました。

ランゲルハンス島には、おもにA(α・アルファ)、B(β・ベータ)、C(θ、シータ)の3つの細胞から成りますが、このうちB細胞からインシュリンが分泌されます。インシュリンは血流にのって体中の細胞に糖の摂取を促します。インシュリンの分泌が低下するなどして、細胞が糖を取り込めないと、血中に糖があふれてしまう、糖尿病の状態になります。

バンディングとベストは、その後、インシュリンの精製に邁進し、製薬会社の支援もあって、翌1922年にはインシュリン製剤の生産が始まりました。インシュリンの発見は、当時の医学界の最大の発見のひとつとされ、製剤の大量生産は、それまで決定的な治療法のなかった糖尿病患者の延命に多大な貢献をしたそうです。

【写真】F. バンティングとC. ベスト、初期のインシュリン製剤F. バンティング(右)と助手のC. ベスト。右写真は初期のインシュリン製剤 photo gettyimages