そろそろ不安になってきた「日銀の日本株大量買い」の終着点

そろそろ出口が必要では…?

出口はどこにあるのか

日銀が日本株を異次元緩和の一環でETF(上場投資信託)を通じて活発に買い入れた結果、その株式市場における存在感が「池の中のクジラ」のような状態になってきた。

日銀の日本株保有額はシンクタンクや新聞社の試算で25兆円前後(時価ベース)と、時価総額の4%近くに達した模様なのだ。すでに日銀が上位10位以内の大株主になった上場企業が全体の4割弱にあたる1446社にのぼるうえ、東京ドーム、サッポロホールディングスなど5社では日銀が実質的な筆頭株主に躍り出たという。

白川方明前日銀総裁が2010年12月に「異例性の強い措置」として、年間買い入れ枠4500億円でスタートした日銀のETF買い入れは、黒田東彦総裁の就任以来4回にわたって買い入れ枠の拡大が行われ、世界経済の混乱に怯える株式相場を強烈に下支えしたこともあった。結果として、株高というアベノミクスの成功を演出する役割も果たしたと言えるだろう。

 

しかし、同じように異次元緩和で日銀が買い入れてきた国債と違い、株式には償還期限がない。いずれは、買い入れ枠の縮小から始め、最終的にすべて売却する出口戦略が必要な日がやって来る。日銀の保有株が膨らみ過ぎると、混乱なき出口戦略の遂行が難しくなりかねない。

おさらいしておくと、異次元緩和は、黒田総裁が、2013年4月に発表した日銀の「量的・質的金融緩和」の通称だ。そもそもの狙いは、長く続いたデフレから脱却して日本経済を成長軌道に戻すことにあった。機動的な財政政策運営、経済構造(規制)改革と並ぶアベノミクスの3本の矢の1つと位置付けられていた。

ざっくり言うと、2%の物価上昇率を目標として、①資金供給量(マネタリーベース)を2年で2倍にするなどの量的緩和、②長期国債の平均残存期間を2倍にするなどの質的緩和――などを行う金融政策だった。

この中で、大きな柱の1つと位置付けられたのが、日経平均株価や東証株価指数TOPIXなど特定の株価指数に連動するパフォーマンスをあげるように運用する投資信託であり、東京証券取引所などに上場している投資信託でもあるETFを通じた日本株の買い入れだ。

黒田総裁らはこのETF投資を「株式市場のリスク・プレミアムに働きかけることを通じて、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていく観点から実施する」と説明してきた。つまり、株価の下支えや吊り上げでアベノミクスの成功を演出することは眼中になく、リスクの大きい株式投資を日銀のETF買い入れによってリスクを小さくし、投資を活発化させることを目指したというのだ。

こうしたことを通じて、企業が市場から資金を調達し易い環境を整えて設備投資を積極化させて経済の活性化に繋げるとか、株を持つ家計が潤って個人消費が活発になって内需が膨らむといった効果を期待していたと言うのだろう。

前述のように白川時代のETF買い入れ枠は年間4500億円と抑制的だったが、黒田時代になると日銀は一転して猛烈な勢いで買い入れ枠を拡大してきた。異次元緩和を始めた2013年4月に年1兆円に、2014年10月に年3兆円に、2015年12月に年3.3兆円に、そして2016年7月に現行の年6兆円に増やしたのだ。

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