率直に言って、ベルギーは隙がない。ポーランド、コロンビア、セネガルはポテンシャルが高く、エース級の選手はいたものの、弱点もあった。しかしベルギーは各ポジションの選手のレベルが高く、穴は見当たらない。
多くの選手が、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、トッテナムなどプレミアリーグの強豪クラブに所属。控え組中心となったイングランド戦も、終始優勢で勝利している。
日本が四つに組んだ場合、かなり苦しいだろう。
ただ、かみ合わせは悪くはない。2002年W杯での結果を持ち出すのは適当ではないが、昨年11月の欧州遠征では、敗北するも圧倒されたわけではなかった。「どうやっても勝てない」という印象がないのだ。
日本はまず、6人を戻すことだろう。長谷部を中心にハイプレスとリトリートを使い分け、守備を整え、攻撃を促す。その中で粘り強く隙を探すしかない。
乾、香川真司、大迫勇也、長友佑都で作る左サイドのコンビネーションは世界で通じる。また、本田圭佑、岡崎慎司、武藤嘉紀は有力な交代カードになるはずだ。
グループリーグ3試合で刮目に値するプレーを見せているのは、酒井宏樹だろう。フィジカル面のアドバンテージを生かし、チームの片翼を動かした。強力なアタッカーたちにほとんど仕事をさせていないだけでなく、前線に出るタイミングも抜群で、ボールを持ち上がるダイナミズムもある。
サッカーは不思議なスポーツで、総合力で勝るチームが必ずしも勝つわけではない。一つのアドバンテージを活路にするだけで、局面の優勢が大局の優勢に結びつくことがしばしばある。その点、酒井宏樹は意外な鍵を握っているかもしれない。
ベルギー戦に向け、本田はこう語っている。
「僕らは予選通過が目標だったんで、その結果が大事。次からは全部決勝のようなもので、未知の領域になる。ベルギーは昨年対戦して強そうだな、というのはあるけど、そこでリベンジする、という気持ちを選手が持ち合わせているか」