ポーランド戦「ラスト10分」を恥じる必要は何もない

次につながる決断だった
小宮 良之 プロフィール

失点後の後半20分を過ぎたあたりから、日本のディフェンスは浮き足立ち始めていた。臆した様子を、ポーランドに感づかれる。中盤やサイドは奮闘すればするほどスペースを与えてしまい、そこを利用された。後手に回った状況で、後半30分過ぎに混乱は頂点に達しつつあった。

コロンビアが先制したとの情報を得た日本のベンチが、そこで「逃げ切り」を決断したのは必然だろう。得点を狙っていたら、同点どころか、失点を重ねていた。もし1失点でもしていたら、得失点差でセネガルに抜かれていたのだ。

そもそも攻撃の人数を増やすことは、得点力アップに直結しない。攻撃がチグハグなとき、前に人を入れても混乱は増すだけ。むしろ中盤を安定させ、守備を落ち着かせることで、ようやく有効な攻撃が生まれる。

長谷部を投入したことによって、燃え盛っていた炎はほとんど一気に消えた。守備的な選手なら、誰でも良かったわけではない。長谷部は中盤とバックラインの間のスペースを消しつつ、そのスペースに入ってくるアタッカーを的確に潰していた。攻撃まで生み出す余裕はなかったが、この交代は狙い通りだった。

 

つまらない試合、だったが

一度、手を合わせただけで、ポーランドの選手たちは状況が変化したのを悟っている。それ以降、彼らは無理に攻めていない。スコアをキープすることに妥協した。

双方が双方の利益を優先したことで、ゲーム性は失われることになった。それによって、スタンドではブーイングが吹き荒れた。ポーランドの交代選手がしばらく入れないほど、日本はボールを回し続けている。試合終了前に席を立つ観客もいた。

「つまらない試合」

客観的に見た場合は、そうなるだろう。しかし、決勝トーナメント進出を目標としていた日本にとって、卑下することなど何もない。全力で戦い抜いた試合だった。

「真実は、結果の中にしかない」

試合後のミックスゾーン、長谷部はわかりやすく語っている。

「自分が出るとすれば、試合を終わらせる形、と思って準備はしていました。リードしているか、同点か。今日は負けてて出る形になりましたが…。西野監督は勝負の運を引き寄せていると感じていますね。(スコアをキープするという)メッセージは入る前からありました」

采配は、初めから後手に回っていた。「23人で戦う」のが理想的だが、そこまでの戦力はない。それが西野ジャパンのリアルだったと言える。

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「6人を変えるのは、監督として勇気がいることだったと思います」

長谷部はそう持論を説いている。

「前の選手たちは前線からの守備で疲弊していた。パラグアイ戦に出た選手が、いまの流れを作ったと思っているので、その選手に対しての信頼感はありましたね。僕個人としては万一、敗退が決まっていたとしても、彼らを信頼していました。そう思わせてくれる仲間がいるのは幸せです。そして次があるという幸せ。(ベルギー戦は)誰が出るかわかりませんが、フレッシュな状態で臨めると思うので」

長谷部は主将として前を向いた。災い転じて福となす。6人はほぼ万全の状況で臨める。

では、日本はベルギー戦をどのように戦うべきか?