ウナギ不足の理由は「海流」にあり! シミュレーションの結果は?

カギを握る「北赤道海流」
海洋研究開発機構 プロフィール
シラスウナギシラスウナギ Photo by Getty Images

ポイントは、シラスウナギの水平・鉛直方向の運動(図4)を再現したことです。成長とともに泳ぐようになったウナギは、敵に食べられないように昼間は200mくらいの深さへ、夜間は浅海へ浮上するなど、水平方向にも鉛直方向にも動きます。

こうしたウナギの水平・鉛直方向の動きは再現するのが大変なのです。

ウナギの鉛直運動図4 ウナギの鉛直運動

こうして1993年から2013年までの海流を再現し、毎年5月から7月に1万8000個の卵が孵化すると仮定して、回遊を経て東アジアにたどり着くまでを年ごとにシミュレーションしました。

──その結果はどうなったのですか?

1993年から2013年までの20年間で、日本や台湾などの東アジアにたどり着くシラスウナギの数は減少していました。これは現実のシラスウナギの漁獲量減少と同じ傾向です。

一方、北赤道海流から南側へ行く数は増えていることもシミュレーションからわかりました。 1993年と2010年について、シミュレーション結果(動画)を見てみましょう。粒子がウナギを見立てたものです。

動画 1993年(左)と2010年(右)の、ウナギの移動をシミュレーションした結果

左が1993年、右が2010年。ウナギにみたてた粒子が、マリアナ諸島沖で誕生してから東アジアにたどり着くまでをシミュレーションしたものです。

色の違いは孵化エリアの違い。赤が南側、青が中央、緑が北側です。産卵場所は特定されていないので、不確実性をふまえて過去に卵が採取された海域をすべて入れてあります。

1993年(左)は粒が北上するのに対して、2010年は粒が北上しにくくなっているのが見て取れます。

また、解析期間の最初の5年(1993年~1997年)と最後の5年(2009~2013年)の平均を比べても、台湾や日本にたどり着くシラスウナギが減っていることがわかります(図5)。

ウナギの稚魚の拡散図5 青いエリアで生じた仔魚(生後0日)が日数とともに拡散していく様子。 左が1993~1997年の平均、右が2009-2013年の平均

シミュレーションで分かった「ウナギ不足」の原因

──なるほど、明らかに違いがありますね! では、どうして台湾や日本にたどり着くシラスウナギは減っているのでしょうか。

シミュレーションで毎年同じ数の卵を孵化させているのに日本や台湾にたどり着く数が減るということは、海流に何か起きているということ。そこで海流の解析を進めると、北赤道海流に原因があることがわかってきました。

──北赤道海流というと、最初に卵やプレレプトセファルス、レプトセファルスを西へ運ぶ海流ですね。