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シンポジウム「限界を超えて」開幕〜人類はどこへ向かうのか

現代新書 特別エッセイ「自著を語る」

我々はどこから来たのか…

司会者 それでは、ただいまから「限界を超えて」をテーマとするシンポジウムを開催させていただきます。

これまで私たちは、人類が直面している「限界」について、多種多様な観点から議論を深めてきました。

本日は、はたして人類はそれらの限界を超えることができるのか、できるとすれば、その先には何があるのか、人類はいったいどこに向かっていくのかについて、自由闊達に議論していただきたいと思います。

異端者 ついにシンポジウムが再開された! このチャンスをずっと待っていたんだ……。ぜひ私の大発見について、発言させてください!

司会者 その「大発見」の内容は、本日のテーマに関係があるのでしょうか?

異端者 もちろんです。「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」、私は50年間、ヒマラヤ山中に籠って修行した結果、そのすべてに対する解答を発見したのです!

 

美術評論家 ゴーギャンの絵の題名ですね? あの絵は、パリに絶望したゴーギャンがポリネシアのタヒチに渡って、自殺を覚悟し、遺書代わりに書いた畢竟の大作です。

現在はボストン美術館に所蔵されていますが、絵の右側に描かれた赤ん坊が人生の始まりを示し、三人の人物像の青年期から壮年期が右から左へと描かれ、左端には死を待つ老婆の姿があります。

ポール・ゴーギャン《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》(1897-1898)by Wikipedia

この老婆の足元には白い鳥が佇んでいるのですが、これは「言葉がいかに無力なものであるかという象徴」だと、後にゴーギャン自身が述べていまして……。

会社員 ゴーギャンは、あの有名な絵を描き終えてから、自殺したんですか?

美術評論家 いえいえ、自殺は未遂に終わりましてね。そこでゴーギャンは、さらに辺鄙な環境を求めてマルキーズ諸島に渡ったのですが……。

司会者 そのお話は、また別の機会にお願いします。あなたは、本当に「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」という疑問の「すべてに対する解答」を発見したとおっしゃるのでしょうか?