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W杯ドイツ予選敗退がメルケル首相の進退を揺るがす可能性

かつての女帝がEUのお荷物に…

難民政策への反発

27日、ドイツのサッカーのナショナルチームが、W杯の予選で敗退した。それもグループ最下位だったのだから、W杯始まって以来の屈辱だ。

試合後すぐに、レーヴ監督が辞任するかどうかが囁かれているが、機を同じくしてメルケル首相の進退も取り沙汰されている。どちらも1ヵ月前には想像もできなかったことだ。

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連立政府内では、難民問題を巡る仲たがいが、いっそう深刻になっているし、24日、やはり難民問題でメルケルがあわてて招集をかけたEUの臨時サミットも紛糾したまま終わった。28日、29日には本当のEUサミットが開催されているが、ここで何かが解決するとは、もう誰も思っていない。

ドイツにもEU内にも、何かもやもやした不機嫌がたち込めている。

 

6月初め、ドイツ・ヘッセン州の州都ヴィースバーデンで、14歳の少女が暴行の上、殺されるという事件があった。容疑者は難民申請中のイラク人(20歳)、アリ・バッシャールで、メルケル首相が国境を開いた2015年にドイツにやってきた100万人近い難民のうちの一人だ。

もっとも、彼の難民申請は認可されず、本来なら国に戻らなければならなかったが、そうなると、皆、お決まりの異議申し立てをして、その結果が出るまでドイツに留まる。ちなみに、この異議申し立ての効果は抜群で、「人権専門弁護士」の力もあり、結局、多くの難民に滞在が認められることになる。

アリも申し立てをし、結果待ちの最中だったが、そのあいだに喧嘩、強盗などの犯罪を働き、最後には婦女暴行、殺人へとエスカレートしていった。しかし、ドイツ人少女の遺体が見つかり、殺人容疑者としてアリの名前が上がった時には、彼はすでに偽造パスポートで、家族五人とともに故郷のイラクに逃げたあとだった。

こうしてみると、難民はドイツではしたい放題である。

警察が発表したアリ容疑者の顔写真〔PHOTO〕gettyimages

ちょうどその頃、ブレーメンの移民・難民局では、難民資格のない難民2000人以上に不正にも資格が与えられていたという事件が浮上した。国の難民問題の総元締である局長の首が飛んだが、事件の詳細はなぜか未だに不明だ。

とはいえ国民のあいだでは、メルケル首相の難民政策への反発はさらに強まっている。同時に、以前からメルケルの難民政策を批判していたCSU(キリスト教社会同盟)が急に力をつけ始めた。

CSUというのは、メルケル氏のCDU(キリスト教民主同盟)と同会派の党で、現内閣での与党だ。その二党の難民政策をめぐっての意見の相違は、今や政党内の熾烈な争いに発展している(先週のコラム参照:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56227)。

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