丸山ゴンザレスが「水上スラム」で飲んだ、世界一不快な液体

クレイジージャーニー裏日記⑪後編

ナイジェリアの水上スラムへと足を運んだ、ダークツーリストの丸山ゴンザレス。そこで眼にした、世界の裏側の現実とは――? (前編はこちらから http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56327

マココという街

小舟の先を眺めると、水上に浮かぶたくさんの小屋が見えた。集落になっていることはわかるが、これまでに訪れてきたスラムとは違い、水上を歩いて移動することはできない。そこで勘を頼りに船頭をチョイスし、集落まで乗せてもらうことにした。

船に乗り込むと、重さのために水面スレスレまで縁が沈む。ちょっとでもバランスを崩すと水が入ってくる。船着き場のあたりの水は、見た目通りヘドロの臭いがしていた。こんなところに落水したら、たまったもんじゃない。

船着き場付近の豚。家畜のようだが、完全な放し飼い

「とりあえず、このあたりを回ってくれ」
そう伝えると、船頭は棒をオールのように使って器用に漕ぎ出した。頼りない船ではあったが、船頭のコントロールは的確で、自転車ぐらいのスピードで一気に動き出す。

水上の小屋群を眺めてみる。足場として、竹や木を使っている。大きな小屋が建っているところは埋め立てている。2階建の家も散見されるし、近くに寄ってみるとよくわかるが、規模も小屋というよりちゃんとした家屋と呼べるものがほとんどだ。

ただ、船着き場のようなものはない。乗り降りするときは建物に横付けしてすばやく降りるだけ。車でいうところの駐停車は、隙間や流れのない奥まった場所のような、流されない場所に突っ込むだけだ。

ずっとまわっていると、こちらに興味津々といった感じで子どもたちが見つめてくる。小舟で通り過ぎる際に手を振ると、「ヤーボ」と声をあげてくる子供たちが増えてくるようになった。

どういう意味なのか。船頭に聞いてみると「白人」のことだという。東洋人と白人の区別もなく、ただ叫んでいる。そこには「ヨソモノ」の意味も込められているように感じられた。

言葉の意味がわかってみると、「ヤーボ」と、そこかしこから聞こえてくる。同行していたディレクターとは「ちょっと冷たく感じますね」と警戒心を見せたが、取材をとりやめるほどのことでもなかった。

子供たちは無邪気に本音を突き刺してくる

気を取り直してマココを探索していくと、民家だけでなく商店もあることがわかった。小屋が店になっているものもあれば、船で移動販売をしているものもある。船頭に一艘の船に横付けしてもらった。

「何を売っているのですか?」

船上の食堂ともいうべきスタイルを確立している

店主が鍋のフタをとると、油で揚げられた何がしかの料理が作られていた。当然ながら陸地でつくられるものと同じだが、鍋は火にかけられていた。船上にかまどがつくられているのである。店主は別に火の取り扱いに気をつける様子もなく、料理を黙々と作って客が来ると売りつけていた。