「アスペルガー症候群」のパートナーを持つ人が抱える問題「カサンドラ症候群」について注目が集まっています。パートナーとの間に共感がないこと、そしてそれを周囲に理解してもらえないことが原因で陥る「カサンドラ症候群」ですが、そこからの回復するためには、どのようなステップが必要なのでしょうか。アスペルガー症候群の夫を持ち、本人も長年カサンドラに悩まされてきた漫画家の野波ツナさんにお話を伺います――。
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カサンドラからの回復ステップについては、以前、単行本『旦那(アキラ)さんはアスペルガー 奥(ツナ)さんはカサンドラ』(コスミック出版)中に書いたことがあります。でも、もう何年も前ですし、わりとサラッと描いてしまって「言葉がたりなかったな」と思うところもありましたので、今回改めてお話ししようと思います。
回復ステップは、4段階に分けられます。まず、第1段階は「自分のことを知る」こと。カサンドラであることを自覚し、体調を整えましょう。カサンドラということを知ると、みなさん「相手をどうしよう」という方向に気持ちの方にいきがちなんですが、まずその前に自分の体調の悪さを自覚し、治すことを優先してくださいね。
次、第2段階は「自分の心を元気にする」ということ。体が元気になればわりと活動的にもなるので、「共感」をまず求めてください。パートナーとは共感が無いわけですから、同じようにカサンドラで苦しんだ人や、今苦しんでる人などと繋がりを持って、共感してもらうことと共感してあげることの両方をあらためて体験しほしいと思います。
そうやって気持ちを満たした後は、自分を責めることをやめて、自己責任で終わらせないように考えを変えていきましょう。「私が悪いからこうなったんだ」で終わらせると、気持ちは収まってるようで全然収まらないので、そうじゃないっていうところをぜひ意識してみてください。
カウンセリングや女性相談機関なども今はたくさんあるので、そういうところに頼ってみるのもおすすめです。
第3段階として「夫」です。夫の特性を知り、知識を持つことです。その時に、些末なことにとらわれてはいけません。
「人の気持ちが分からない」とか「具体的な指示が通らない」とか「だからアスペルガーなんだわ!」ということではなく、もう少し深く知ろうとして、情報をいっぱい蓄えてください。情報は日々更新されていくので、なるべく新しい書籍を読んでほしいし、個人的な感情に走っている情報には惑わされないようにしてほしいと思います。
「パートナーの特性を理解しましょう」と言うと、「なんでこんなに苦しんだのに、さらに夫のために夫を理解しなきゃいけないの?」と、みなさん「やってられない」と嘆くんです。
でも知ることは、理解して受け入れることと同義ではありません。まず知ること。「敵を知る」みたいな感じでもいいんです。自分がこれからどうするかを考えるために、まず正しい知識を入れておきましょうっていうこと。
本などを読むとフラッシュバックして「私もされた、これもされた」って苦しくなることも多いことでしょう。でも、そこはなんとか乗り越えてほしいなと思います。だからこそ、自分の心が回復して元気になってからのステップなんですね。