「カサンドラ」妻が結婚前、夫が「アスペルガー」だと見抜けない理由

「カサンドラ症候群」自覚と回復の道③
野波 ツナ プロフィール

「カサンドラ」になりやすいのは子育て中

加えて子供に障害や病気がある場合、より夫婦で力を合わせなければいかなくなりますよね。でもそれが難しくて、これまた問題が大きくなるので、ほんとに大変な思いをすることになる。

下手したら子供の療育をしながら、夫の療育もするようなことになるわけです。例えば子供がアスペルガー症候群だったら、家庭内ルールの徹底が必要になってくる。なのに旦那さんがマイルールで動くと子供が混乱してしまって療育の邪魔になってしまう、という話はすごくよく聞きます。

それでも無駄だと知りつつも、同じように戦ってる人もいるし、何度言ってもダメって言いながら何度も何度も繰り返して、やっぱりダメで心折れるって言ってる人もいるし、家庭内別居みたいな感じで距離を置いた方が気が楽って言ってる人もいるし、もうそれぞれ、ほんとご家庭によってご夫婦によって、今後の在り方を見つけていくしかない。「こうするといいですよ」っていうのはありません。

 

離婚するにしたって、アスペルガーの人から言い出すことはあまりないと思います。気の荒いタイプで、なにかにつけ「離婚だー!」って言う人の話は聞いたことがありますが、でも、じゃあ具体的に「じゃあここにサインしましょう」ってなると「そんな気は無い」ってなっちゃうなど、離婚もやっぱり妻の決断に委ねられることになることが多いようです。

アキラさんも、別居に関して、こちらが言うことをすんなり全部飲んでくれました。あまりにも言うなりだったので、「私が彼の人生を変えてしまった」という罪悪感を当時は抱き、その後も長く罪悪感に苛まれましたが、しばらくするうちに「ああ、私が悪いわけじゃないんだな」と思えるようになりました。彼だって大人なんだから、彼が全部私の言うなりになったとしても「それはそれで彼の意思なんだ」って思えるようになったからです。

(次回に続く)

〈取材・構成/松本愛〉

*『カサンドラ症候群』はDSM-5(アメリカ精神医学学会が定める診断基準で国際的に広く用いられている)に記載されておらず、正式な病名ではありません。また『アスペルガー症候群』も『自閉症スペクトラム障害』という診断名に統合されていますが、現在のところ、日本の医療現場や社会では広く使われているので『旦那(アキラ)さんはアスペルガー』シリーズ及びこのインタビューではそのまま表記しています。
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