「アスペルガー症候群」のパートナーを持つ人が抱える問題「カサンドラ症候群」について注目が集まっています。「カサンドラ症候群」の原因はパートナーとの間に共感がないこと、そしてそれを周囲に理解してもらえないことだと言います。
ではいったい「カサンドラ症候群」になりやすい人とはどんな人なのでしょうか? アスペルガー症候群の夫を持ち、本人も長年カサンドラに悩まされてきた漫画家の野波ツナさんにお話を伺います――。
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「カサンドラ症候群」になりやすい人の特徴として、自分を責めがちというのがあります。人のせいにできる人はカサンドラにはならないと思うんですよ。「夫がこうなっちゃったのは私が至らないからだ」とか「私の操縦方法が下手だからだ」と「今の状態は全部私が招いたものだ」ってどんどん自分を責めしまうタイプは危ない。自分が苦しいのも自分のせいだから仕方ないんだ、っていう風に飲み込んじゃうからです。
だからよく言われるような「(パートナーが変なことは)結婚前にわからなかったのか」というようなセリフも真に受けてしまうんですね。でも、実は見抜くのは意外と難しいんですよ。なぜなら、アスペルガー症候群の人には「外モード」と「内モード」っていうのがあるからです。
「外モード」とは、これまでの体験で得た学びを生かして、周囲との軋轢や摩擦が和らぐようにふるまうモードです。「こうふるまえば怒られずにすむ」とか「こうふるまえば受け入れてもらえる」っていう経験が外モードとして働いています。でもそれは、本来の自分がやりたいことではないため、無理している状態なのでとてもストレスがたまる。
なので、「内モード」では、全部それをオフにして本来の自分、アスペルガー症候群を隠さない自分に切り替える。自分が育ってきた家庭の中では「内モード」で過ごし、学校とか会社とかでは「外モード」を使い分けるわけですね。
恋人っていうのは、外の人ですから「外モード」で頑張るわけです。好かれたいから余計です。で、結婚すると「もう内モードでいいんだ」っていう風に急に変わっちゃうんですね。本人は、楽にしてるだけなんですよ。無理しなくなっただけなんです。でもパートナーからしたら「いいと思ったところが全部無くなっちゃった」ように感じるほどの変わりようなわけです。
ほんとならそこは「内モード」じゃなくて新たなモードを作るべきだと思います。外と内の間の新たなモード。「家庭モード」といいますか、それを作らなきゃいけないんですが、そんなものがあるということを本人は知る由もないし、誰も教えてあげないのが問題なんですよね。