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「米中貿易戦争」実は過度に恐れる必要はなかった

ここでもトランプ流「ディール」炸裂か

アメリカの覇権維持政策

6月12日の米朝首脳会談後、トランプ大統領は、中国に対する強硬措置を次々と発表している。これに対し、中国も報復関税をちらつかせるなど、一歩も引かない姿勢を貫いている。

そしてこのような米中の「チキンレース」的な様相が、「米中貿易戦争リスク」を投資家に意識させ、マーケットは混乱状態にある。

筆者は、トランプ大統領は、かつてレーガン政権が日本に対して実施した貿易政策を中国に対して行っているのではないかと考えている。

 

当時(1980年代)の日本も、アメリカの高競争力産業を奪い、アメリカの経済覇権を揺るがしていた。「強いアメリカを取り戻す」と宣言して大統領選に勝ったレーガンがそれに対して対抗措置をとるのはある意味当然であった。そして、同様のことがトランプ大統領にも当てはまる。

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トランプ大統領は、まもなく中国企業の米国ハイテク企業への投資を禁じる措置を講じるといわれている。これは、米国のハイテク企業の技術が、出資を通じて中国へ流出することを防止する政策であり、ハイテク産業におけるアメリカの優位性を維持しようとするものである。

レーガン大統領との比較から対中貿易政策の目的を考えてみると、

①中国の国内市場を開放させ、アメリカ製品(及び特許を含むサービス)の購入を通じて経済の対米依存度を高めたまま高齢化による低成長時代を迎えさせること、

②中国国民が「自由な資本主義社会」をより深く知ることによって、現在の中国共産党一党独裁体制の基盤を弱体化させること、

ではないかと思う。そう考えると、トランプ大統領の行動に意外感はない。

一方、習近平国家主席は、かつての「中華帝国」の栄光を取り戻すという「夢」を持っており、その夢の実現に向けて動いているといわれている。

中国がヘゲモニーを獲得するためには、人口減少・高齢化社会のもとでもある程度は高い経済成長率を実現させる必要がある。そのための長期的な経済政策構想として、最近、中国政府が取り組んでいるのが「製造業2025」といわれているものであり、中国を世界屈指のハイテク立国にするべく積極的な投資と技術導入をはかっている。

トランプ大統領の腹づもりとしては、軍事(防衛)支出の積極的な拡大と貿易政策を通じて、中国の国家財政の負担を増やしていけば、早晩、中国は高齢化による社会保障需要の拡大に対応しなければいけない局面に入ることから、安全保障面、及び経済面でアメリカにとって代わる覇権国になることは「時間切れ」でできなくなる(あるいはその前にその路線をあきらめる)というものではなかろうか。

それはまさに、レーガン政権でのアメリカ覇権維持の政策と同じ構図である。

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