自分の常識だけが正しい?

そう、政治家のおじさま方だけに限ったことではない。自分の常識だけが正しいと思っている人が、いかに多いことか。ひとつの価値観だけがすべてではない、世の中にはいろいろな考え方の人がいる。それが理解できなくてもいいから、せめて「押し付ける」のはやめてほしい。

私は結婚せず、子どもを持たず、非正規雇用で働くという人生を自分で選択した。ボーナス支給額のニュースを見て、「え、そんなにもらえるの!」と会社員時代を懐かしく思うこともあるし、第1号被保険者の身として国民年金の不公平さには怒り心頭である。ただそれも理解した上で選択したことだ。

その選択を今まで一瞬たりとも後悔したことはないが、それを声高に叫ぼうとは思わない。生き方が多様化していると言われる今でも、こんな、私にとってはごく「普通」の選択が少数派であることは理解しているし、「何言ってるの? この人」と唖然とされたり、「かわいそうに」と思われたりするのが面白くないからだ。日本の片隅で、おとなしく、誰にも迷惑をかけないように生きているのだから、そうっとしておいほしい。

だからこそ、2年ほど前、女優の山口智子が女性誌のインタビューで、産まない人生を選んだことを「一片の後悔もない」と発言したことには快哉を叫んだ。同時に山口智子クラスなら、こういう発言をしても痛々しい目で見られずにすむのねと、うらやましくもなった。

「よくぞ言った!」と思いつつも、山口智子クラスでないと「痛々しい」と思われないのかとも…Photo by Getty Images

独女だけ「勝手」なの?

そもそも勝手に産まない人もたくさんいるが、さまざまな理由で持てない人や産めない環境にある人もたくさんいることは、想像できないのだろうか。強い結婚願望があり、積極的に婚活もしているのに縁に恵まれず、「こんなことを言ってはいけないのだろうけど、不妊治療を頑張っている夫婦がうらやましい」とつぶやく友人もいる。なかにはいまの政府のもとで、保育園のことに不安を持つ人や生活そのものに不安を感じる人も少なくないだろう。

『今晩、飯を炊くのにお米が用意できない』という家は日本中にないんですよ」とも二階幹事長は言ったそうだが、今、多くの子どもたちが「見えない貧困」にあえいでいることを知らないのだろうか。……ほんとなんたる視野の狭さ!

とはいえ、二階幹事長が「子どもを産まない方が幸せじゃないかと考えることは勝手」だと考えるのは自由だ。ただその偏狭な家族観、前時代的な幸福観で、個人の生き方の選択に介入することは、「勝手」ではないのだろうか。子どもを産まない“方が”必ずしも幸せ、だとは思わない。でも子どもを産まなくても私はじゅうぶん幸せだし、そしてそう思うことを恥じていない。

……のだが、もしかしたら私も、5年後、10年後、「子どもがいる人生も良かったな」と思うかもしれない。まあそうなったらそうなったで、若き日の自分の選択を受け入れる覚悟はできている。ほろ苦い思いはおいしいお酒で流し込もう。

でもそう考えると、自分の子どもを持つ「タイムリミット」が長い男性がちょっとうらやましい。そして、男性は子どもを持たない選択をしても勝手とか言われないのはなんで? ずるくない? と思ってみたりもする。