「一生薬を飲み続けなければならない」人などほとんどいない

私的「減薬・断薬」放浪記【最終回】
上原 善広 プロフィール

あなたはどう生きるのか

私は今回の一件で、製薬会社・医療界・政治といった大きな問題はもちろん、医師それぞれの治療方針に対しても、よく観察して考えるようになった。しかし実際には、患者である自分がどうするのか、試されているのだと思う。個人クリニックが乱立している現状では、何をどう選ぶのか、患者個人が問われているように感じたからだ。

どのようなクリニックを選ぶのか、近所の専門クリニックか、遠くても信頼できる医師なのか。さらには薬を飲むのか、薬にできるだけ頼らないのか。東洋医学や代替え療法を取り入れるのか等々……。医療というのは、考え出すと複雑な迷路のようでもある。

 

私としては、今後はできるだけ情報収集した上で取捨選択し、その上でシンプルに考え判断したいと思っている。これは医療に限らず、万事、私はそうして生きてきたからだ。

そうした意味では、どのクリニックを選ぶのか、どのような薬を飲むのかで、私たちの生き方そのものが現れているように思う。減薬・断薬の問題は、実はそれだけに止まらず、「あなたはどう生きるのか」と、私たち患者に対して突きつけられたテーマなのではないだろうか。

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減薬を始めて、1年8ヵ月が経った。

睡眠薬であるハルシオンを2錠から1錠(0.25ミリグラム)に減らし、今は抗不安薬のデパスの減薬に取り組んでいる。1日1.5錠飲んでいたのを、今は1錠(0.5ミリグラム)の3分の2を基本として、仕事と体調をみながら2分の1にして減薬している。

恥ずかしい話だが、今回の連載の取材をしていたとき、焦ってデパスを半分にしただけで体調を崩して寝込んでしまったので、田島医師のアドバイスにより、また分量を戻して数ミリ単位でカットして慎重に減らしている。

1年半も減薬しているのに、同じような失敗を繰り返すので、自分でもときどき嫌になる。減薬には非常に時間がかかるので、焦燥感が出ることもしばしばある。何しろ睡眠薬を1錠減らすのに、私の場合は1年以上もかかっているからだ。

主治医の田島治医師からは「双極性障害はあると思うが、睡眠薬は止められるでしょう」と言われている。いま双極性の薬は飲んでいないが、躁鬱っぽい極端な調子の波は、今のところ出ていないと思う。もともと喜怒哀楽が激しい性格なので、このあたりの判断は難しい。

私としては、いったん薬を全て止めてリセットした上で、自分は医療と薬に対してどう付き合っていくのか、見極めたいと思っている。

自分の生を己で全うするには、それしか手はないのである。

「金さえあれば差別なんてされへんのや! 」 大阪・更池に生まれ育ち、己の才覚だけを信じ、 食肉業で伸し上がった「父」の怒涛の人生。