「半分、青い。」は、日本の衰退を教えてくれるドラマだ

時代の「反面教師」として
井戸 まさえ プロフィール

起きなかった第三次ベビーブーム

1989年の人口動態統計において、合計特殊出生率が過去最低の1.57に低下し、団塊ジュニアは、1990年代以降少子化傾向が顕著となる日本社会の救い手として期待されるようになる。

そもそも「1.57ショック」と言われる数字は、なぜそれだけの衝撃を持って受けとめられたのであろうか。

その根拠は丙午1966年の出生率1.58を下回ったことに由来する。

八百屋お七の伝聞から「丙午年の生まれの女性は気性が激しく夫の命を縮める」との迷信から、丙午の年には産み控えが行なわれ、受胎調整が可能となったため、丙午の前年1965年が2.14、後年1967年が2.02となっている。

つまり、1.57ショックとは「迷信で産み控えた数値よりも低い!」ということが衝撃だったのである。

逆に言えば、それだけ「迷信基準」で性行動すら抑制する人が当たり前とされていたとも言える。ある意味シュールでもある。

日本人の行動が「物語性」によって動かされていることにも気がつくのだ。

 

「怒濤編」に入った「半分、青い。」。今後鈴愛は漫画家をあきらめ、「だめんず」に翻弄されながらシングルマザーとして生きる鈴愛が、そこから立ち上がり、律とともに起業家として成功して行く姿が描かれるという。

漫画家として成功していくことを望んでいた人々も多いと思うが、そうとはいかないのも時代の反映なのか。

ふと、起業家としてのモデルがいるのかも、と思い、1971年〜74年の団塊世代での女性起業家を調べてみたが、ヒットしなかった。

1971年から2018年までの年表を眺めてみる。まさに「半分、青い。」で描くのはセクハラも、パワハラも、同等待遇の問題も解決できなかった50年なのだ。

だからこそ、鈴愛たちが語る言葉は貴重である。ひと言ひと言が日本の衰退を予兆し、象徴したものであるからだ。

このドラマは時代の「反面教師」としても良くできている。