サメの知られざる「8つの潜在能力」~川にいたり、400年も生きたり

実はすんごい生き物なんです
沼口 麻子, はな プロフィール

この時期になると妊娠したメスが、湾内に入り、そこで赤ちゃんを産むのでしょう。湾内には外敵、たとえばオスザメが外敵になるのですが、それらが少ないので、赤ちゃんが育ちやすい環境なんですね。

母親のメスザメは、そこで赤ん坊を産んだあと、彼らを置いて湾内から出ていってしまい、子育てはしません。

はな サメは子どもの産み方や普段の生活がそれぞれに違うんですね。

沼口 はい、群れで行動するサメもいれば、単体で回遊するサメもいます。

寿命400歳のサメがいた

はな 生息地も暖かいところが好きだったり、寒いところが好きだったり、好みがあるんですか?

沼口 500種を超えるサメは、水のあるところならどこでもいます。

北極の氷の下もいますし、赤道直下にもいます。水深2000メートルくらいの深海にもいるんです。川に入れる特殊なサメもいて、アフリカのザンベジ川やインドのガンジス川には、淡水域が好きなサメが生息しています。

種類によって、冷たい場所が好き、深い所が好き、表層が好き、外洋が好きというのは分かれますが、サメ全体で言えば「地球上のどこでも、水があればサメがいる」というふうに考えてもらえればと思います。

はな 海だけではなく、川にもいるんですか。寿命はどれくらいなんですか?

沼口 これも種類によって違いますが、たとえばメジロザメの仲間だと、20~30年くらいです。青森はサメ食文化がある地域ですけど、そこで食用にされるアブラツノザメは80年くらい生きるという人もいます。

はな 80年も生きるんですね(驚)

沼口 実はもっと長生きする種類もいるんですよ。最新の研究によると、北極の氷の下の冷たい場所を好むニシオンデンザメは、400年も生きる種類だと言われています。

19世紀初頭に描かれたニシオンデンザメの生物図 この時代のニシオンデンザメが、もしかしたら今も生きているかもしれないと思うとロマンがある。Photo by gettyimages

はな 400年も生きているサメがいるんですね。なんだか、木の樹齢みたいです。やっぱり寒い所にいると、冷凍されちゃう(笑)ってことなんでしょうか?

沼口 代謝がすごく低くなるので、おそらくはゆっくりと時間が流れているんではないかと思っています。

はな 400歳のサメだったら、あんまり襲ってくる感じはしないですね

沼口 そうですね。深海系のサメに機敏な動きをするものはあまりいなくて、オンデンザメも平均時速1kmで泳ぐ「世界一のろい魚」として、先日取り上げられていました。

はな えっー!1kmですか! 逆に一番早いサメだと、どれくらいのスピードで泳ぐんでしょうか?

沼口 水中で早く泳げる生き物は魚類だとホホジロサメや、マグロなどで、ふだん彼らは平均して約8kmで泳ぐと言われています。鳥類ではペンギンがやはり同じくらいの速度で泳いでいるようです。

でもそれはあくまで「平均遊泳速度」で、たとえば哺乳類のチーターは、獲物を捕らえるときに瞬間的にものすごいスピードで走りますよね。サメも同じで瞬間的に約30~40kmくらいまでのスピードが出ると言われています。

はな 陸で30~40kmだと、車でゆっくり走るくらいのスピードですね

沼口 そうですね。ただ海の中は水の抵抗があるので、そのくらいのスピードでもかなり早く泳げると思っていただいたほうがよいですね。