シャークジャーナリストの沼口麻子氏がサメに会いに世界中を回った体験記をもとにし著した『ほぼ命がけサメ図鑑』。
前回(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56177)は、沼口さんがサメにハマったきっかけや、シャークジャーナリストのお仕事、生きているうちに絶対一緒に泳ぎたい憧れのサメの話を、モデルのはなさんのDJのもと、FMヨコハマ「Lovely Day ~hana金~」で語りました。今回は「サメの生態」について熱く語っています。
はな さて、今回はいよいよサメの生態に迫ってみたいと思います。
そもそもサメがなんなのか? 生物学的には、魚類とか哺乳類とか、どこに分類されるんでしょうか?
沼口 サメは哺乳類ではないんですね。「イルカ」「クジラ」「シャチ」は哺乳類ですが、サメは魚類です。
魚類か哺乳類かは、尾ビレの付き方でわかります。魚類は、尾びれが垂直について、左右に尾っぽを振る。マグロやアジなどの尾ビレも垂直ですよね。
一方、哺乳類のイルカは水平に付いていて、いわゆるドルフィンキックのように上下に振るんですね、マナティ、ジュゴン、などもそうです。
なので、サメは魚類。
で、魚類は魚類でもサメは、軟骨魚類に属しています。先ほど魚類の例に挙げた、マグロやアジなど、私たちがよく目にする魚は硬骨魚類に属します。硬骨魚類のエラにはエラ蓋がついていますが、サメのエラには、エラ蓋がなくて、エラ孔が剥き出しになっています。そのエラ孔が5対あるんです。胸ビレと頭の間に5つ切れ込みが入っています。
はな サメのイラストには、必ず切れ込みがいっていますよね。
沼口 なので、サメかどうかは、まず「尾ビレが垂直であること」と「5対のエラ孔がある」ということを見れば、一発でわかります。
はな イメージとしては、シャチやイルカなど哺乳類の仲間かなと思いきや、実は魚類だったんですね。ということは、卵を産むんですか?
沼口 そこが、少し難しいところで、いま世界には500種類以上のサメがいるんですが、そのうち3割くらいは卵を産んで、残りの7割が哺乳類と同じように赤ちゃんがお腹の中から出てくる胎生なんです。
はな えぇーー! サメが赤ちゃんを産むんですか?
沼口 はい。それに、魚類はふつう体外受精で卵を孵しますが、サメは交尾します。
はな ということは、哺乳類と同じようにサメも赤ちゃんを産んだときは、群れで泳いだり、お母さんが子育てしたり、お父さんが狩りに出かけたり、夫婦で子どもを育てるようなことをしているんですか?
沼口 いえいえ、哺乳類のように産んだ後に子育てをするってことはありません。
たとえば、 ハンマーヘッドシャークという頭がT字のシュモクザメの仲間は、メスの群れだけで行動する姿が目撃されています。
わたしが卒業研究で訪れていた小笠原諸島父島にある二見港では、毎年6月~7月になると生まれたばかりの60cmくらいの赤ちゃんザメが泳いでいるところを、よく目にしました。