この10年で日本の「子どもの貧困」を取り巻く状況はこう変わった

若者たちの声に応える時がきている
山野 良一 プロフィール

「何とかならないでしょうか」(高校生の声)

さて、この10年で見えてきたことの最後に当事者や若者の声を上げてみたい。

これは先述したように、法律制定にも影響を及ぼした。

沖縄の高校生調査における自由記述欄(公表を前提に記述願った)からも、高校生自身のこの問題に対する関心の高さがうかがえた。いくつかを引用してみたい。

「私の周りに進学してやりたいことがあるけれど、経済的に苦しく進学をあきらめる・自分のやりたいこととは違うものをする子が多い。ひとり親で多い。私も、家計が苦しいため、最悪夢は諦めて就職しないといけないかもしれない。これから沖縄を変えられる人材もいるかもしれないのに、経済的な理由で潰されるのはもったいないと思います」

「なぜか不安になることがたまにあります。家計が苦しくて大学に行くべきか悩みます。親に無理させてまで夢を叶えたいのかどうかも分からないです」

「私は両親にとても愛されていると自覚しているし、経済的にもあまり不安はありません。自分の環境がとても恵まれている事は十分理解しています。周囲の知り合いには、そうではない人がたくさんいます。助けてあげてください」

「進路に不安はつきないけど、私は今のゆめを実現させたいです。ゆめがやっと決まったからです。ただお金がかかるとなると、このゆめもあきらめなくてはなりません。だから、そこに悩んでいます。支援があれば、私だけでなく、多くの人がゆめを叶えて、国のために良い働きをしてくれると思います」

「私は県外の国立大学に行きたいと考えています。母は仕事を2つ掛け持ちして土日も働き、私の大学費用と兄の予備校費用を稼いでくれています。私もバイトをして自分の大学費用のためにこつこつ貯金しています。給付型の奨学金制度がもっと充実していれば…と、いつも思います。何とかならないでしょうか」

「沖縄の貧困がいつかなくなってほしい」

 

彼らは自分のことだけを問題としているのではなく、そこから仲間たち、親の暮らし、さらには社会や国全体のことを射程にしているのである。

私たちは彼らの声にきちんと答える必要があるのではないだろうか。それができる土台はこの10年で少しずつそろってきたと思う。