ならば対策を、と考えても、場合によっては逆効果になる場合もあるという。いったいどうしたらいいのか──。
『日本人はなぜ臭いと言われるのか』著者、医師の桐村里紗氏による特別寄稿。
74%の外国人が「日本人の口は臭い」
「日本人は、外国人から臭いと思われている」
こう話すと、多くの人から反発の声が返ってくる。
「いやいや、日本人は臭くない。外国人の方が体臭や香水やきついでしょう」
この声は半分正解で、半分間違っている。
確かに、日本人は欧米人と比べると、腋臭症(いわゆる腋臭)が少なく、体臭は強くない(ミドル脂臭や加齢臭は別)。それに、「香水プンプン」は美徳に反するから、無臭を基本とし、時に楚々とした上品な香りを好んでまとう程度だ。
しかし、自覚がないのである。「口臭」についてだ。
在日外国人の74%が、「日本人は口が臭くて残念」と回答した調査がある(調査結果の詳細はこちら)。しかし、ここで問題なのが、口臭はなかなか自覚できないことだ。特に慢性的であるほど、「順応」という慣れのシステムが働いて、そのにおいを感じにくくなくなってしまう。
つまり、自分のにおいほど、感じることができない。
厚生労働省による「平成23年歯科疾患実態調査」によると、35歳以上の日本人の8割は、何らかの程度の歯周病であるとされる(歯肉出血がある人〜歯周ポケットを有する人を含む)。歯周病は、口臭の主な原因だ。
にもかかわらず、私たちのうち9割は、「自分は歯周病ではない」とお気楽だ(前出調査による)。それほど、自覚が難しいのだ。
身内であっても指摘するにはハードルがあるこの問題、いわんや他人をや。ビジネスシーンにおいては、だらしない印象を与える上、「スメハラ」などと言われてしまうリスクもあり、致命的ではないか。
さらに、口臭の原因になる歯周病は、他人に不快感を与えるだけではない。
糖尿病や動脈硬化、がん、アルツハイマー型認知症、流早産との関連も指摘されており、自分自身にも悪影響を与える。
「人生100年時代」と言われる現代、良好な人間関係を築きながら、生涯現役として走り抜けるためには、今すぐに正しい口腔(こうくう)ケアを身につけておきたい。
日本人は誤った方法を習慣にしてしまった
ヘルスケアに意識が高い欧米の予防医学先進国と違い、日本は、口腔ケアにおいて後進国であるようだ。
ライオン株式会社の調査によると、日本では、歯科受診の理由の66.6%がムシ歯治療であるのに対し、意識高い系の欧米は、「歯の状態の健康診断」が最多だった(アメリカ:64.5%、スウェーデン:70.4%)という。
さらに、口腔ケアについて、欧米では半数以上が「歯科医師から得た情報を参考としている」(アメリカ:51.3%、スウェーデン:61.3%)のに対して、日本は 30.8%であり、「特にどの情報も参考にしていない(自己流)41.3%」が最多だったとのことである。
つまり、日本では適切なケアが浸透せず、誤った方法が習慣化してしまっているのだ。その典型的な例が、以下のようなものである。