60歳以上が5億人に…!「超高齢大国」中国の未来がヤバすぎる

未来の中国年表が雄弁に物語る悪夢
近藤 大介 プロフィール

独居老人1億人の可能性も

それにもかかわらず、中国では介護保険法が、いまだ施行されていない。

中国では、独居老人の問題も、年々深刻になってきている。

同じく『2014年中国老年社会追求調査』によれば、60歳以上の一人暮らしは、全体の9.8%だった。

うち男性7.44%、女性12.08%で、都市部が9.15%、農村部が10.53%である。また、独居老人の年齢は、60歳から5歳刻みで見ていくと、80歳から84歳が19.85%でピークだった。

 

すなわち、平均寿命が長い女性の方が一人暮らしが多く、生産年齢人口(15歳~64歳)が都市部へ出稼ぎに出てしまう農村部の方が、一人暮らしが多いということだ。

中国民政部発行の『2014年社会サービス発展統計公報』によれば、2014年末時点での60歳以上の人口は、2億1242万人である。

そのうち9.8%が一人暮らしということは、単純計算で2081万人。2014年の時点で、日本の総人口の6分の1にあたる2000万人もの一人暮らし高齢者がいることになる。

これが2050年になると、60歳以上の一人暮らしは、4821万人となる。だが、これは単純に、2014年の一人暮らしの割合を当てはめたにすぎない。

「一人っ子世代」の親の世代が高齢化を迎える2050年には、2014年に較べて、はるかに多くの独居老人が発生していることが見込まれる。その数は1億人を超えていることも、十分考えられるのである。

彼らの相手をしているのは「AI家政婦」だけだろう。

「高齢化ビジネス」輸出のチャンス

2050年頃に、60歳以上の人口が5億人に達する中国は、大きな困難を強いられることは間違いない。

製造業やサービス業の人手不足、税収不足、投資不足……。それらはまさに、現在の日本が直面している問題だ。

経済統計学が専門の陳暁毅広西財経学院副教授は、『人口年齢構造の変動が市民の消費に与える影響の研究』(中国社会科学出版社刊、2017年)で、今後、中国が持続的な経済発展をしていくには、「老年市場」を開拓していくしかないと結論づけている。

それは、以下のようなものだ。

・老年日用品市場……食品、ファッション、家庭日用品、保健品、補助医療設備など
・老年サービス市場……家事サービス、衛生保健サービス、医療サービスなど
・老年不動産市場……老年マンション、老人ホームなど
・老年娯楽市場……老年用玩具、文化用品、旅行など
・老年金融保険市場……投資サービス、医療保険サービスなど
・老年就業市場……老人の再就業の奨励
・老年教育市場……老年大学、老年趣味教室、老年の職業訓練など
・老年特殊市場……結婚相談所、同伴サービスなど

要は、いまの日本で行われていることと、よく似たことだ。

その意味では、日本国内で高齢化ビジネスの蓄積を持つ日本企業は、今後新たに中国市場に進出していくチャンスが多いとも言える。