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男も妊娠する世界…BLの人気設定「オメガバース」ってご存知ですか

何のことか分からないかもしれませんが

『おっさんずラブ』の大ヒットで注目を集めた男どうしの愛の世界。サラリーマン、学園と様々なジャンルが並び立つBL(ボーイズラブ)界において、いま「男も妊娠できる世界モノ」が大人気なのをご存じでしょうか!? このたび単行本第一巻が発売された「男も妊娠する世界」を舞台にした『オメガ・メガエラ』(著・丸木戸マキ)を題材に、明日から知ったかぶれる「3分でわかるBL最新トレンド」講座を開講します。

α、β、Ωの3つの性と身分制度、家督争いを描いた『オメガ・メガエラ』

BL界の”オープンソース”

上司×部下、警官×ヤクザ、あるいは「えんぴつ×消しゴム」といった「擬人化」まで……、あらゆる関係性を愛でて楽しむボーイズラブ(以下、BL)の世界。ドラマ『おっさんずラブ』ロスにため息をつく周囲の女性たちの影響で、興味を持った方もいるのではないか。

多種多様なジャンルが乱立するBL界において今、ひときわ盛り上がりを見せているのが「男も妊娠できる」というSF設定、「オメガバース」だ。

「ありえない!」と拒絶するのは簡単だが、これがトンでもなく人気の設定になっているのは動かしがたい事実だ。頭から否定をする前に、まずはその緻密な設定をぜひ知ってほしい。

 

解説してくれるのは、BL漫画、小説のレビューサイト「ちるちる」の中の人だ。

ちるちる「男が妊娠する世界、といっても、BLを知らない人にはぴんと来ないでしょうね。『オメガバース』とは、男女のほかにα(アルファ)、β(ベータ)、Ω(オメガ)の3つの性があり、αの男女、βの男女、Ωの男女という、計6種類の性別を持った人々が存在する特殊な世界観と、それを題材にした作品群のことを指します

ざっくりと、人口の10%~20%しかいないエリート層がα、人口の大多数を占める一般人のβ、αよりも希少なΩ、という階層になっています。

このうち、αの男女間、βの男女間では女性のみが妊娠しますが、Ωの場合、男女ともに妊娠可能である、という設定が多い。つまり、αの女性とΩの男性が性行為を行った場合、妊娠するのはΩの男性ということです。

なぜ男も妊娠できるようになるかというと、Ω性の人には周期的に”発情期”が訪れ、両性具有のような状態になるからです。しかも、発情中のΩは、αやβを惹き付ける強いフェロモンを発し、男性でも“濡れる”というわけです」

そもそも「オメガバース」は北米の二次創作ファンが考えたものと言われているが、明確な発案者は定かではない。ファンの間で共有され、発展していった設定が日本にも伝わり、おもにBL漫画や小説の題材として広く好まれるようになっていった。(参考:『発情・妊娠・身分差だけじゃない!! 日本で進化中の「オメガバース」を徹底解析』

もともとは、狼の群れに実際に存在する階級意識を参考にしたという説もある。そのためか、「オメガバース」の世界では、「番(つがい)」という設定がとくに重視される。

ちるちる「『番』とは、αとΩの間だけに発生する関係です。いわゆる『運命の相手』のような存在で、恋人や夫婦といった関係よりも強いものとされています」

男も妊娠可能で、抗いがたい社会階層が存在し、どこかにいる「運命の番」に出会う――なんとも都合のよい設定と思われるかもしれない。しかし、この「オメガバース」、日本で「ガラパゴス的進化」を遂げているというのだ。

ちるちる「海外では、α、β、Ωの序列は変化させないのが一般的。びくともしない階級社会を舞台に、αとΩの恋愛が描かれます。しかし日本においては、『βとΩ』、はたまた『ΩとΩ』の関係まで描かれる作品がある。そのアレンジは多岐に及んでいます」

海外ではαは「絶対的な存在」として描かれるが、日本においては作品内でのキャラクターの関係性にあわせて、その描かれ方は多様に変化しているという。αとΩの立場が逆転することすら珍しくはない。

つまり、日本において「オメガバース」という設定は、書き手が自分の描きたい関係性を実現させるために用いられる、便利な舞台装置なのだ。

ちるちる「世界観が広く共有されながらも、設定は自由自在にアレンジできる。さながら”オープンソース”のように、『オメガバース』は多くの人の創作意欲を掻き立てているのです」

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