ヤマダ電機「業績低迷」の理由と、新戦略の落とし穴

覚悟は感じるのだが…
加谷 珪一 プロフィール

リフォーム大量受注で現場が混乱

ところが、家電とホームファッションは消費財であり、商品サイクルはかなり短い。住宅の購入をきっかけに、家電や家具まで一式購入するというケースはあるだろうが、家電の売り上げと住宅の売り上げを連動させるほどの関連性はない。

最近ではメーカーが新製品を出すサイクルもさらに短くなっており、毎年のようにモデルチェンジが行われる。結局のところ家電は生鮮食品のような売り方が必要であり、住宅は住宅で従来の営業活動を継続するよりほかなく、シナジーを発揮しにくいのだ。

 

ヤマダ・エスバイエルとヤマダ電機の企業体質の違いを指摘する声もある。もともとエスバイエルは高級注文住宅を得意としており、必ずしもヤマダ電機の客層と一致しているわけではない。

低価格なリフォームを大量に受注したものの施工体制が追いつかず、十分な利益を確保できないなど内部体制の混乱も露呈した。

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まったく異なる業界の企業を買収したことを考えれば、混乱が生じるのはある程度、やむを得ないことではある。カルチャーの違いも時間をかければ吸収できるだろう。だが家電量販店のトップ企業である同社にとって、悠長に構えている時間的余裕はない。

住宅事業を軌道に乗せないことには、住設、家電とのシナジーは得られないので、まずは住宅事業の立て直しが先決である。こうした状況を考慮に入れた結果が、ヤマダ・エスバイエルの完全子会社化ということなのだろう。

転換の覚悟を示す人事

人事面でも住宅事業への注力を鮮明にしている。同社は、6月28日の株主総会において執行役員副社長で「家電住まいる館」を統括している三嶋恒夫氏を社長に昇格させる人事を発表した。

三嶋氏は家電量販店を運営するサンキューでリフォーム事業を手がけ、その後、エディオンでもリフォーム事業を担当していた。ヤマダには2017年に入社したばかりだが、社内では数少ない家電量販店によるリフォーム事業の経験者である。

今回の人事には、同社創業者である山田昇会長の意向が強く反映しているといわれる。会長自らが住宅事業にコミットし、リフォーム事業を得意とする人材を抜擢することで、内外に不退転の決意を示す狙いがあったと考えられる。

これだけの体制が組まれているということは、同社の業態転換への意思は固いとみてよいだろう。時間をかけてでも、確実に業態転換を進めたいところだろうが、市場の目線は短期的な業績に集中しがちである。

もっとも今期(2019年3月期)の業績については、売上高は8.8%増、営業利益は86.0%増とかなり強気の見通しを示している。この数字が山田会長の自信のあらわれなのか、あくまで業態転換を進める決意を示した数字なのか現時点では分からない。だが、結果が出るまでに、それほどの時間は必要としないだろう。