大阪北部地震「ブロック塀倒壊」で問われるべき「もう一つの責任」

児童生徒の視点を忘れていなかったか
大前 治 プロフィール

「児童・生徒の視点」を忘れていなかったか

この法律整備を受けて、文部科学省は、2008年7月9日に全国の教育委員会や学校設置者にむけて次の通知を発していた。

「近年の地震から想定される被害等も踏まえ、施設設備の不備や危険個所の点検・確認を行うとともに、必要に応じて補修、修繕等の改善措置を講ずることが求められる」(文部科学省スポーツ・青少年局長通知「学校保健法等の一部を改正する法律の公布について」)

ここでいう点検や確認とは、建築基準に則ったものであろう。したがって教職員だけで実施するのではなく建築の専門家の助力を得るべきであり、そのための予算措置も当然必要である。

それと同時に、建築の専門家への「丸投げ」であってはいけない。教育現場のプロとして、生徒児童の行動パターンや心理状態を想定したうえで点検や対策を実施することが求められている。

 

その点では、2016年3月に文部科学省が定めた「学校事故対応に関する指針」が参考となる。

安全点検の実施に当たっては、児童生徒等の意見も聴き入れ、児童生徒等の視点で危ないと思っている箇所についても点検を行うことも重要である(「学校事故対応に関する指針」より)

児童生徒の意見と視点。その重要性こそが、高槻市立小学校において忘れられていた最も重要なことではないだろうか。

〔PHOTO〕gettyimages

倒れたブロック塀は素人目からも危ない塀だと感じる。すでに昨年には、塀の上部が傾いていて「地震が来たら危ない」と卒業生が話していたとの報道もある。

背が低い子どもからすれば、見上げるようなブロック塀は怖い存在となり得る。そこを景色や空を眺めながら毎日歩いている子どもだからこそ気付ける異変もあり得る。

「あの塀がちょっと怖い」「上の方が傾いている気がする」という雑談でもよい。子どもの何気ない一言を現場の教師が汲み取って、職員会議でも話題になり、それが教育委員会や行政へ届けられるのが理想的である。

残念ながら、文部科学省はこれとは逆の方向に動いている。