孫正義、ベゾスと普通の人の決定的な差は「ミッション」にあった

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田中 道昭 プロフィール

「ミッション」の本質

では、こうした超長期的思考はどのようにミッションに反映されているのだろうか。

ジャック・マーは「アリババのビジョンは、米国、中国、欧州、日本に次ぐ世界第5位のアリババ経済圏を構築すること」と語っている。国家に次ぐ「EC×リアル」経済圏の構築などいったい誰が想像しえただろうか。実際にアリババの流通総額は2017年に60兆円を超え、2020年には110兆円に達するとみられている。

ではジャック・マーがアリババを巨大経済圏として、100年以上続く会社を作ろうとしているのはなぜだろう。彼は中国政府の国策であるIoTや第四次産業革命を担うという表明したうえで次のように語っていた。

「社会的問題を社会インフラ構築で解決する」

アリババ創業者のジャック・マー/Photo by Gettyimages

人工知能への傾注著しい孫正義は300年ビジョンへのプロセスを説明したとき、このように語った。

「高い次元の感情を持った超知性が実現し、超知性コンピューターが人間を幸せにするために共存していく社会を実現したい」

そしてジェフ・ベゾスは1万年間自動で時を刻み続ける時計を建設する目的をこのように語っている。

「1万年後の子どもたちが住む未来のために社会貢献したり、環境を保護することを人々に意識させるため」だと。

きれいごとにも聞こえるこうした発言を、眉に唾をつけて聞く人もいるだろう。しかし筆者はこれをストレートに受け取ることができる。なぜなら経営者が日々行っている経済活動は、長い目で見れば一つの真理に繋がっていくことを経験上、知っているからだ。

その真理とは「社会問題の解決」である。

彼らが行う事業は、第一に人々の欲求に繋がり、ニーズを生じさせ、それは多くの場合、人々の不便を解消することに繋がる。それは言いかえれば社会の課題をクリアしていくこととなり、ひいては社会問題を解消していくことになる。

たとえばファストデリバリは、外出して買い物ができない人のために自宅まで商品を届けられるようになってきているが、ニーズとは利便性もさることながら、それを必要とする人々の諸課題の解決に繋がっている。

かたや、こうした社会貢献に至らない経営者や組織は早晩、淘汰されてきた。

つまりビジョンを実現させていく日々の活動は、その事業そのものへの賛否や批判もあるが、改善を繰り返したうえで、何らかの社会貢献に繋がっていく。実はこれこそが「ミッション」の本質なのである。

 

ビジョン、ミッション、スピード

より具体的に、彼らのいま現在のミッションをあげてみよう。

ジャック・マーのミッションは「社会的問題を社会インフラ構築(つまりアリババ経済圏の拡大)で解決する」ことであり、孫正義のミッションは「情報革命で人を幸せにすること」である。そしてジェフ・ベゾスのミッションは「消費者の期待にこたえ続けること」ということになる。

ジェフ・ベゾスは現在、宇宙事業にも参入しているが、そのことについて次のように語っている。

「地球の将来を考えると、人類の何割かは宇宙に住むことが必要になる。全世界の人口を押さえることは望ましいことではなく、それよりも地球と宇宙に別れてそれぞれが望むところに住むほうがいい。いまからずっと先のことかもしれないが、人類の宇宙進出のために貢献したいと思っている」

そしてアマゾンの事業をこう定義づけるのである。

「自分はアマゾンで得た資金を宇宙事業に注ぎ込んでいる。そのためにアマゾンをやっているといっていいくらいだ」

ジェフ・ベゾスにとって、もはやファストデリバリというビジョンを実現したいま、すでに「アマゾン」そのものが、人類の宇宙進出というビジョンを実現させるための「ミッション」になっているのである。

そしてこの長期的なビジョンを実現させるため、日々のミッションとして圧倒的なスピードで「計画」「実行」「評価」「改善」のPDCAサイクルを回しつづけている。

「ビジョン」と「ミッション」と「スピード」、これがいわば彼らを巨人の域に到達させたのである。