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弱体化したメルケル首相の足元を襲う「4つの震源」

W杯の敗戦も不吉な前兆なのか

産業も政治も不安定

ドイツが揺れている。しかも震源地がいくつもある。

まず一つ目の震源は、18日、アウディのシュタットラー社長の逮捕。

フォルクスワーゲン社はもちろん、ダイムラー社もポルシェ社も、皆、不正ソフトで躓いてはいるが、社長逮捕という事態は初めてだ。産業界の受けた衝撃は計り知れない。

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シュタットラー氏には、自社の車が不正ソフトを搭載していたのを知りながらも売り続けたとして、詐欺などの容疑がかかっている。今月に入ってから、会社だけでなく自宅の捜索も行われていた。今回の逮捕の理由は、証拠隠滅の疑いとのこと。

その数日前には、ダイムラー社のツェッチェ社長が交通省に出向いたあと、突然、不正ソフトを積んでいる車をリコールし、修理すると発表した。その数は欧州全体で77万4千台。ものすごい額になるが、これもやはり急な展開。

 

二つ目の震源はドイツ銀行。

堅実な銀行がいつしか投資業務にのめり込み、挙げ句の果て、違法な行為にまで手を染めた。そのために、アメリカで膨大な罰金や賠償金を課せられたわけで、ここでもドイツ人のモラルに傷が付いた。

ドイツ銀行の株は暴落しており、破綻すれば、負債額はリーマンブラザーズの4倍と言われている。だから、「大きすぎて潰せない」。とはいえ、いよいよ危なくなったら、膨大な税金で救済するだろうから、国民としてはいつ破裂するかわからない大動脈瘤を抱えている気分だ。

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思えばドイツというのは、どの党が政権に就いても、政治と産業のつながりが非常に深かった。しかし、気づいてみたら、自動車や銀行などというドイツを代表する大企業が、揃いも揃って利益のために不正に走り、それをここ2年来、検察が追い詰めている。かなり不思議な現象だ。いったい何が起こっているのだろう。

三つ目の震源は、与党内のCDU(キリスト教民主同盟)とCSU(キリスト教社会同盟)の抗争。

CSUというのは、メルケル氏のCDUと同会派の党で、バイエルン州だけにある。一方、CDUはバイエルン州にはなく、両党はいつもCDU/CSUのセットでドイツ全土をカバーしてきた、つまり、切っても切れぬ関係だ。現在もCSU/CDUとして、ともに政権の一角を担っている。

ところが、そのCSUのゼーホーファー内相が、「我がCSUの誰も、メルケル首相の失脚などには興味を持っていない」という言い訳のようなコメントを出す事態に至った。言うなれば、メルケル首相の足元はそこまでぐらついているのだ。

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