アパレルの「AI実用化」はここまできた~ヒット商品も先読み可能に

利益率が10%改善した例もあります
河合 拓 プロフィール

商社が変革の中心になる

ちょうど、この原稿を書いている6月14日、ファッション業界PLMの大手、「セントリックソフトウェア」がフランスの3D CADの最大手「ダッソーシステムズ」に買収された速報が入ってきました。意図することは明確。3D CADを使ってサンプリングを効率化し、生産管理全般をPLMで一気通貫することです。

このように、デジタルSPAへの流れは世界規模で起きているのです。いずれ、AmazonやZOZOTOWNのような、アパレルを販売する「モール型」のプラットフォーマー(水平型プラットフォーマーと言っていいでしょう)に加え、生産プロセスを最初から最後まで牛耳る「SPA型」プラットフォーマー(垂直型プラットフォーマー)が生まれるのも時間の問題です。

 

こうした動きは、100年後の話でもなければ、5年後の話でもありません。再来年、いや、ひょっとしたら来年には実現しうる事態です。なぜなら、「プラットフォームビジネス」というのは先に覇権争いに勝った企業が、大きな利益を享受することができるからです。

さて、メディアを見ると、アパレル業界に関する話題では、ユニクロや無印良品のような、大手アパレルの話がハイライトされています。しかし、2018年の統計をみても、数だけでいえば日本のアパレル企業の99%は中小企業で、売上でもアパレル企業のトップ10を合計しても市場全体の40%にも達しません。

日本のアパレル産業は万単位の中小企業群でなりたっており、日本のアパレル産業の将来を考えるなら、こうした中小企業がどうしていくか、に目を向ける必要があります。

大多数の中小企業は、見てきたような最先端技術に対して投資余力がなく、このままいけば大手の勝ち組と中小企業の差は広がる一方です。

しかし、別の角度から見れば事情は違ってきます。中堅企業の取りまとめ役を伝統的に行ってきたのはアパレル専門の「商社」。彼らは企画機能、調達機能、生産管理、物流、ファイナンスなど一連の機能を有しており、その気になればデジタルSPAを導入することも可能です。

デジタルSPAを大手商社が導入し、投資余力がない中堅企業にソフトウエア・サービスとして提供し新しい産業エコ・システムを作り上げることも考えられます。商社は、グループ内にIT企業もシンクタンクももっており、優秀な経営者も次々と輩出しています。

デジタル武装された商社は業界再編のトリガーを引くのーーAI導入で大きく再編が進みうるアパレル業界。目が離せません。

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