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銀行を救うため、日銀が9月に「量的緩和終了」を発表する可能性

欧米に便乗する最後の機会だ

ひとり現状維持の日銀が追っかける理由

6月12日から19日、先進国の中央銀行の金融政策決定会合が集中する「金融政策ウィーク」となった。

結果は、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り利上げし、欧州中央銀行 (ECB)も、今年末での量的緩和政策終了を決定した。一方、日本銀行は現状維持であった。

今後もFRBは金利を上げ続ける。ECBも量的緩和を終了する。これにはドイツで賃金が上昇し、一方、足元の景気減速は一時的という判断がある。この点では、ECBは後段で説明する中銀の”信念”に基づいて仕事をしたのである。

重要な理由があった。イタリアのポピュリズム政権誕生である。新政権が、ECBが保有するイタリア国債を債務免除にしろとか、疑似通貨(無利子の短期証券:代用通貨)を発行したいとか訳の分からないことを言い始めたからである。

まさにECBおよび中央銀行にとっての危機である。そのような甘えを断ち切るために、同じイタリア人のドラキや南欧の中銀総裁たちが、”信念”に基づき量的緩和終了を強引にすすめたのである。

筆者はさすがだと思った。政策金利については、来年夏までは現在の水準を維持することになる。

日本では政治的な圧力もあり、なかなか金利を平常化できない。政策協調を旨とする先進国の中央銀行間の“協定”も守れていない。しかし、政策転換の兆候は出始めている。

まず物価目標の2%の「達成時期」を外した。時期を外した目標に意味があるのであろうか。政府の年金などの社会保証の計算に物価上昇率1%とおいている。日本銀行のレポートでもそもそも景気が良くならないのだから、物価は上がらない、という趣旨であった。

 

さらに、最近、黒田総裁が盛んに使うのが「リバーサルレート」という言葉である。金利というモノは下げれば下げるほど、景気は良くなるはずである。しかし、副作用として銀行の収益を悪化させ、逆に景気が悪くなるというモノでもある。

金融庁のレポートでも、「地方銀行のほとんどは営業赤字」という趣旨のレポートも出されている。

金融政策の変更には納得性が必要になる。

日本では低賃金の労働者の存在、新興国の安価な製品、ネット通販の普及により、もう物価が上がる余地は少なく、一方、この「リバーサルレート」の副作用を強調し、「銀行救済」のために量的緩和終了を実行するというのが今回の論理である。

ECBが中央銀行の意地を見せており、日本銀行もせざるをえない。

機は熟した。少なくともFRBが金利を上げている間に日銀も金利を上げなければならない。言い換えれば、日銀だけが金利を上げると日本の“トラウマ”である「円高」の可能性が上昇する。これは避けたい。

そこで筆者は、次のFRBの“大きい会議”の今年9月に合わせ、日本銀行は「今年度末」に量的緩和の縮小を発表する可能性が高いと考える。

そして、ECBと合わせ「来年夏」にはマイナス金利の解除をしなければ、FRBの利上げが終わってしまうか可能性がある。

ちなみに今回のFRBの利上げについて、日本の報道の解説では「3月ぶり」とか書かれている文面を目にすることがよくあるが、なんともである。

FRBの公開市場委員会(FOMC、日銀の政策決定会合に相当)は年に8回ある。2カ月続きの大きい会議と小さい会議があって、このうち後半の方(3月、6月、9月、12月)の大きい会議でしか、金融政策の変更はしない。やっても年4回。「3ヵ月ぶり」ではなく、「連続して」が正しい。