表舞台から消えた「一発屋芸人」たちの「その後の人生」

髭男爵・山田ルイ53世にインタビュー
山田 ルイ53世

ひぐち君とのこと

―ご自身のコンビ「髭男爵」のことも取り上げていますね。相方のひぐち君への最初の印象は〈お笑いの才能、知識は素人同然の割に、自己主張が激しい厄介な年上〉とかなり厳しめです。

ホンマは、自分らのことなんか書きたくなかったんです。恥ずかしいじゃないですか。でも、編集の方から、「最後はお二人のことを書いてください」と言い渡されたんです。

確かに、人のことを書くのに、自分たちのことをさらさないというのもおかしな話だな、と。

それで、ひぐち君と出会ってからの顛末を思いのままに書いていったら、あんな具合になりました(笑)。

 

―「消えた」「死んだ」などと言われても、しぶとく、たくましく生きる芸人たちの姿。一冊読み通すと、なんだか元気をもらえます。

ボクら一発屋芸人は「溺れ方」の達人なんじゃないかと思うんです。言うなればこの本は、クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライに続く「一発屋の泳法」という新しい泳ぎ方の実例書です。

最近は、「何億稼ぐ法則」とかいわば勝ち組のセオリーというか、「平均値」を書いたような本がよく売れていますけど、この本のほうがずっと実践的だと思います(笑)。

人間誰しも「あれ、急にうまくいかなくなったな」と感じるような、人生に溺れかける瞬間がある。そういう時にこの本をパラパラとめくっていただいて、「ああ、こんな人生もあるのか。俺も頑張るか」と思ってもらえたらうれしいです。

「一発」のあとも、人生はずっと続いていくわけですから……。(取材・文/堀井憲一郎)

『週刊現代』2018年6月30日号より