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音楽産業「復活の兆し」が見えた米国と、低迷続く日本の大きな違い

明暗を分けた、アーティストの意識改革

長年、売り上げ減少が続いてきた米国の音楽レコード産業が、ついに底を打って反転した。

RIAA(全米レコード協会)が今年発表したデータによれば、米音楽レコード産業の出荷額は2017年、前年比で16.5%増となる87億ドル(約9500億円)を記録。2008年の水準にまで急回復した(図1)。

図1)米国の音楽レコード産業の出荷額が底打ちから増加傾向に転じる 出典:RIAA公表のデータを基に筆者が作成

この様子を日本と比べると、対照的な結果が見えてくる。

 

日本音楽レコード産業の生産額は、1998年にピークを打って以来、20年近くに渡る減少が続き、未だに反転の兆しが見えない(図2)。直近となる2017年の生産額は、前年比3%減の2893億円。

図2)未だに回復の兆しが見えない日本の音楽レコード産業 出典:日本レコード協会公表のデータを基に筆者が作成

日米の明暗を分けた最大の要因

両者の明暗を分けたのは、「ストリーミング(Streaming)」と呼ばれる(主に定額の)音楽配信サービスの動き。米国では2013年頃から、このストリーミングの売上が急増し、今では音楽レコード産業の収入全体の7割近くを占めるまで成長した(図3)。

対照的に日本では、ストリーミングの売上は2017年に263億円と、音楽レコード産業の売上全体の約9%に過ぎない。もちろん年々、増加傾向にはあるが、CDなど従来の音楽媒体の売上低下を補い切れていない。

つまりストリーミング配信の未発達が、日本の音楽レコード産業が米国のように底打ち・反転できない最大の理由と見ることができる。

図3)米国の音楽レコード産業の収入内訳を2013年と2017年で比較――PhysicalはCDやアナログ・レコードなど物的媒体、Streamingは主に定額配信サービスを指す 出典:RIAAのHP

ストリーミングとはSpotify(本社:スウェーデン)や米Pandora、あるいはアップルやアマゾンなどが提供する(基本的に)定額制・聴き流し型の音楽配信サービス。が、他方でユーチューブのような広告収入に立脚した無料配信サービスもストリーミングに含まれる。

またSpotifyやPandoraなども定額(有料)サービスの一方で、広告収入による無料サービスも提供している。これら有料・無料を問わず、ストリーミング・ユーザーの多くはスマートフォンなど携帯端末から音楽を聴いているケースが多い。

特に米国のデータで興味深いのは、いわゆる「(デジタル・)ダウンロード」と呼ばれる売り切り型の楽曲配信とストリーミングとの比較。同じインターネット経由の配信サービスでも、ストリーミングが急成長する一方でダウンロードの売上は急低下している。

2017年、米国のダウンロード売上は前年比25%減の13億ドル。昨今の復古調ブームに乗って米国のアナログ・レコード(vinyl record)売上が前年比で10%も増加しているのとは極めて対照的だ。

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