毎日ユニクロで、車は中古の国産車――この程度の質素な生活は、倹約家な金持ちにとっては序の口だ。資産数十億円クラスの大富豪の、想像を超える仰天のケチエピソードをご覧いただきたい。
「知ってます?ファミリーマートってほかのコンビニにくらべて高いんですよ。お弁当やプライベートブランドの商品が。割引セールも少ないし、ポイント還元率も悪い。
まあ、コンビニはそもそも割高だからあまり買い物しないんですけど、どうしても必要なものが出たときはセブンイレブンやローソンを探しますね」
向夏の候、東京は府中の奥まったところに広がる住宅街。独自の「ケチセオリー」を本誌記者に向かって繰り広げながら、コンビニでペットボトルの緑茶を購入したのは小平房之氏(64歳・仮名)である。
じつはこの小平氏、飲食チェーン経営で財を成し、たたき上げで20億円以上の資産を築き上げた人物なのだ。
だが、いざ話を聞いてみると、一般的な庶民と比べても常軌を逸するほどの倹約家であることがわかった。
「生活必需品は仕事の合間を縫って、近所のいちばん安いディスカウントショップで買い込みます。もはやこれは私にとって仕事のひとつですからね。
会社でも時間があれば特売品のチラシを眺めています。買い物を妻なんかに頼んだら、どんな割高なものを買ってくるかわかりませんから、かならず自分で行きますよ」
お会計は103円。府中は30度近い汗ばむ日だったが、記者に「なにか飲みますか」と語りかける雰囲気など微塵もない。そしてコンビニの店員に、澱みなく一言。
領収書ください――。