もしも東京五輪の真っ最中に、M7巨大地震が起きたら…

考えたくないことだが、万一のために。
週刊現代 プロフィール

津波が呑み込む

発見されてからまだ日が浅く、その観測の困難さから研究が十分に進んでいない現象であるため、「メカニズムにまだ明らかになっていない点が多い」としつつも、武蔵野学院大学・島村英紀特任教授(地震学)はこう指摘する。

「世界中の地域を見ても、スロースリップが直接的に甚大な被害を及ぼしたケースは、現在までに確認されていません。ただ、11日に千葉県東方沖でスロースリップが観測された翌12日、同域を震源とするM5弱、震度3の地震が発生しています。

房総半島は複数のプレートが入り組んだ『地震の巣』のような場所であり、発生する地震には様々な要因が考えられるため、この地震が現在起こっているスロースリップによって引き起こされたものかどうかはまだ解明されていません。

ですが、この現象がプレートの活動に影響し、その後の大きな地震の発生に結びつく可能性は、十分に考えられます」

実際、11日、地震調査委員会の委員長で、東京大学地震研究所の平田直教授は同域でスロースリップが観測された後、直ちに会見を開き、「(スロースリップが確認された後)過去には体に揺れを感じる地震も起きている。念のため今後の地震活動に注意してほしい」と注意を促している。

「ゆっくり地震」とも呼ばれるこの緩やかな活動が、プレートの動きを活性化させ、巨大地震を引き起こすリスクが急上昇しているのだ。

 

実は、今回スロースリップが発生した千葉県東方沖では、およそ40年弱の周期で、M7に近い巨大な海溝型地震が発生している。

防災科学技術研究所が'08年に行った発表によれば、同域を震源とするM6以上の地震は1912年、1950年、1987年に発生しており、研究者の間では、「次回は2020年代に発生する可能性がある」ことが指摘されてきた。

ただでさえ、巨大地震の発生が観測されている地域で起きた今回のスロースリップ現象で、発生時期が早まる可能性も懸念されている。となると、最悪のケースとして想定されるのは、2020年。そう、東京五輪が開催される年だ――。