ヒットが出ない…!アパレル業界「トレンドの崩壊」はなぜ起きたか

始まりは2010年だった…
南 充浩 プロフィール

ユニクロ、しまむら、無印良品がカッコ良くなった

では、なぜこうした変化が起きたのか。

ユニクロ、ジーユー、しまむら、無印良品をはじめとする低価格ブランドの服のデザインが、それなりにカッコ良くなったことが理由の一つに挙げられます。

1998年のユニクロのフリースブームで低価格衣料品への注目度は一気に高まりましたが、それでもユニクロが2004年に大阪・心斎橋筋商店街に「ユニクロプラス」(現:ジーユー心斎橋店)を出店するまでは、低価格衣料品と「ブランド衣料品」では価格差と同じくらいに商品のデザインにも差がありました。

 

昔のジャスコやダイエーの安い洋服は、情報源となるファッショントレンドは同じでも、柄の細部や使用している生地の「表面感」やその発色、シルエットのバランスや各部のディテールなどが明らかに異なっていました。

「ブランド衣料品」と同じような商品が欲しければ、「ブランド」で買うほかなく、ジャスコやダイエーの洋服ではブランドの着こなしを真似することはできなかったのです。

00年代半ばからデザイン性を高めたユニクロ(photo by gettyimages)

ユニクロは2004年に「ユニクロプラス」(一時的に使用した屋号)で商品のデザインを「ブランド品」へ圧倒的に近づけました。その結果、今ではほとんどブランド品と見た目に差がなくなっています。

かつては、おしゃれをしようとしたら、有名メーカーが主導するキャンペーンに追随しなければなりませんでした。しかし、ある程度デザインがいいものが多ジャンルで普及すると、消費者の選択肢は広がり、消費者はメーカーに追随しなくなります。結果、ビッグトレンドは生まれにくくなるのです。

もう一つには、衣料品への支出が全年代を通じて優先順位が下がっていることがあるのではないでしょうか。現代は娯楽が多様化しています。ファッションは基本的に娯楽みたいな部分もありますから、ほかの娯楽が優先され、ファッションへの支出の優先順位が下がっている可能性があります。

しかも、先に述べたとおり、どの服もそれなりにカッコ良くなっていますから、創意工夫をしておしゃれな服を身につけるという「娯楽としての喜び」も小さくなっているでしょう。

こうした傾向の背景には所得の減少・伸び悩みという問題が横たわっているのかもしれません。とはいえ、今後景気が好転し、所得が増えたとしても衣料品への支出の優先順位が上がるとは思えません。ファッションは今後、ずっと細分化されてそれぞれのジャンルが並立・併存し、アパレルにおける「トレンドの崩壊」はさらに進行していくのではないでしょうか。