ヒットが出ない…!アパレル業界「トレンドの崩壊」はなぜ起きたか

始まりは2010年だった…
南 充浩 プロフィール

細分化するトレンド

パンツのトレンドの変遷は先ほど見た通りですが、それ以外のファッションのブームとして、1997年にバーバリーブルーレーベルのチェック柄スカートが大ヒットしました。これは歌手の安室奈美恵さんを使ったキャンペーンが奏功し、多くの女性が安室さんの着こなしを真似たため「アムラー」という呼び名が生まれたほどです。

原宿の裏通りにあったベイシングエイプを代表とするストリート系ブランドがヒットして「裏原宿系」と呼ばれたのも90年代後半で、ナイキの「エアマックス95」というスニーカーが大人気となったのが1995年です。

ビンテージジーンズブームも合わせて考えると、90年代後半というのは、今よりもはるかにアパレル業界にとってはやりやすい恵まれた時期だったといえるでしょう。

その後もアパレル不況だと言われながらも毎年のようにブームが起きます。

00年代前半ごろにはギャル文化と相まって渋谷109に入店していたセクシーカジュアルブランドが「マルキュー系」といわれて若い女性に大いに支持されましたし、2005年前後には、上品なお嬢様スタイルがアンチマルキュー系女性に支持され、こちらはエレガンス系とか神戸エレガンス系と呼ばれました。

00年代前半には「マルキュー系」が一世を風靡(photo by gettyimages)

ファッション雑誌モデルの蛯原友里さんが爆発的に人気となったのはこのころで、彼女たち人気モデルを使ったファッション雑誌「JJ」や「CanCam」などが「赤文字系雑誌」と呼ばれて大人気となりました。

2008年ごろにはセクシー系・お嬢様系とも違ったナチュラルカジュアルテイストを愛好する女性も増え、彼女らは「森ガール」と呼ばれていてこのグループもそれなりの人数がいました。

2010年以降、こうした大ヒットブランド、大ヒット商品はほとんど見られなくなりました。それはどうしてかというと、スキニージーンズとワイドパンツの共存で見られるように、一つのテイストやジャンルのファッショントレンドに人気が集中することがなくなったからではないかと思います。

 

現在はそれぞれのファッションジャンルが細分化し、かつてに比べて強固に並立・併存しています。もちろんその時々のトレンドによって各ジャンルの所属人数は増減しますが、一定規模で残存し続け、消滅することはありません。

例えば、だいぶ下火になったとはいえ、マルキュー系のようなセクシー系カジュアルを好む女性は一定数いますし、森ガール的なナチュラルカジュアルは年代を問わず残っています。また知人女性(ほとんどが衣料品業界人)を見ていても、スキニーとワイドパンツの両方を愛用している場合が多く見られます。