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カチカチフランスパンが、絶品フレンチトーストに!

科学的知識があれば、おいしくできます

フランスパンは基本的に小麦粉、イースト、塩、水だけでできる、もっとも材料がシンプルなパンの1つである。それだけにパン職人も腕の見せ所で、より美味しいフランスパンを作るために、製法や配合などを工夫し、しのぎを削っている。そのため、街のパン屋さんにも美味しいパンが増えてきた。

基本の製法から見える「おいしさの秘密」

数あるフランスパンの製法のなかで、もっとも代表的な製法が「ストレート法」である。

ストレート法とはすべての材料を投入し、一度にこね上げてパン生地を完成させる製法。1900年頃にヨーロッパやアメリカで工業製品の圧搾イーストが開発されたのを機に開発された、当時は画期的なパン製法だった。従来は何日もかけてやっと焼き上げるパンが、早いもので2〜3時間、遅くとも5〜6時間もあれば焼き上がるようになったのだ。

ストレート法は、フランスパンのみならず、世界中のあらゆるパンの基本製法となった。なぜたった4種類の材料から、こんなにも深い味わいのパンができるのか、科学的にどんなことが起こっているのか、ストレート法のもっともシンプルな工程を追いながら、簡単に解説すると……。

  • 生地ミキシング
    すべての材料を合わせ、しっかりこね、生地を完成させる。こねることにより、小麦粉の成分のタンパク質がグルテンを形成して、生地に粘りと弾力性をもたらす。
  • 生地発酵
    小麦粉の成分のデンプンが分解されてできた糖類が、イーストがおこすアルコール発酵により、炭酸ガスを産出し、それが生地を膨張させる。
  • 分割・丸め
    生地を一個分の重さに切り分け、それを表面に緊張を持たせた状態で球状にして並べる。
  • 発酵
    再び生地を発酵させることでグルテン組織が弛緩し、生地の伸長性・伸展性が回復する。
  • 成形
    パンの形を作る。
  • 最終発酵
    焼く直前に生地を膨張させる。これをしないと、焼成中にカマ伸び(温度が上がってさらに膨らむこと)せずに、ボリュームに欠けたパンとなる。また、発酵させすぎても、パンの形が乱れたり、しぼんだりする。
  • 焼成
    加熱することによって、グルテンやデンプンが膨らみながらもちもちとした状態になり、外側は糖の反応であるメイラード反応やキャラメル化反応などにより色づく。
【図】ストレート法過程
  ストレート法の過程

このような各ステップでさまざまな複雑な化学反応が起こって美味しさが作られていくのであるが、焼き立てはおいしいフランスパンも時間がたつとパリッサクッという食感や香ばしさが徐々に失われていき、風味や食感が損なわれてしまう。