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強豪・大阪桐蔭の甲子園を制するチーム育成法

最強のチームに最強の監督術あり

高校野球の強さは「監督が8割」

今年で第100回の節目を迎える夏の甲子園大会。その地方予選が、6月23日に全国のトップを切って北海道と沖縄で始まる。

甲子園球場で日本一が決まる8月21日(予定)までの2ヵ月間、全国各地で数々のドラマが繰り広げられるが、最大の注目は何といっても春の選抜大会で優勝した大阪桐蔭が夏の甲子園も制することができるのか、だろう。

藤浪世代の’12年に続いて二度目の春夏連覇を成し遂げれば、もちろん史上初の快挙である。また、同校の西谷浩一監督は春夏合わせて七回目の優勝となり、元PL学園の中村順司監督を抜いて歴代最多優勝監督となる。

 

大阪桐蔭は、この5年間に限っても春夏合わせて9大会のうち6回も甲子園に出場。優勝が2度で、戦績も22勝4敗(勝率8割4分2厘)と圧倒的な強さを誇っている。

そんな大阪桐蔭の強さの秘密は? と聞けば、優秀な選手をスカウトしているからと思う人が多いだろう。しかし、高校野球は選手を集めるだけで勝てるほど甘くない。

高校野球で強くなれるかどうかは、監督の力が8割以上といわれている。

「高校野球は監督しだい」という声もよく聞く。東海大相模の門馬敬治監督もこう話している。

「大阪桐蔭にはいい選手が来ていますが、いい選手が来るだけでは勝てません。本気で日本一を、プロ野球選手をめざす選手たちがいて、西谷が彼らを鍛えています。だから勝てるんです。

(元横浜高校の)小倉(清一郎)さんも、『いい選手が来てもいい練習をしないと勝てないからな。いい選手が来て、それをしっかり鍛えた後に勝利があるんだから』とおっしゃってました」

「凡事徹底」

では、大阪桐蔭の西谷は、いかにしてこれほど強いチームを育てているのだろうか。

西谷自身は「特別なことは何もしてません」というが、じっくり話を聞いてみると、10のポイントが浮かび上がってきた。と同時に、西谷の指導を貫く骨太の方針が「凡事徹底」「徹底した個別指導」にあることも見えてきた。

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たとえば、「全力疾走」や「大きな声を出す」、「低く、鋭い打球を飛ばす」なんてことは、そのあたりの公立高校でも取り組んでいるテーマだろう。

大阪桐蔭では、全国のトップクラスの選手たちが「日本一の全力疾走」、「日本一の声」を常に意識して実践している。西谷は誰にでもできる凡事だからこそ、徹底してやり切ることが大切だという。

「高校野球は2年半で約1000日です。その約1000日で、その後の人生が決まる。それぐらい大事な時間なんだということを考えて、やはり己に勝つ、自分に妥協しないということが大切です。自分に甘えているうちは成長しないですよ」

打撃練習でもお互いに声をかけ合って低く、鋭い打球を意識する。打ち上げてしまったら、それがどんなフライであっても全力疾走で二塁まで走る。

走攻守すべてにおいて意識が高く、かつ細部にまで意識の行き届いた練習は、見ているだけで「そりゃあ、強いはずや」と感動する。大阪桐蔭は強豪私学でありながら、公立高校にも見事なお手本となっている。