それでも日本人が「1ドル=100円割れ」の円高を警戒すべき理由

「円安世論」が見逃していること…
唐鎌 大輔 プロフィール

むしろ景気減速のサインが…

周知の通り、通常、長期金利は短期金利を上回るのでイールドカーブは右上がりの曲線となる。

しかし、今次利上げ局面で米国のイールドカーブは着実に長期金利と短期金利の差が縮小しており、曲線が平ら(フラット)になってきている(以下、図)。

要するに、利上げを経ても「短期金利は上がったけれども長期金利はさほど上がっていない」という現実がある。教科書的にはカーブのフラット化は将来の景気減速ないし後退を示唆するとされ、特に長短金利差が逆転する逆イールド化は不況のサインとして極めて有力と考えられている。

 

未曾有の金融緩和を解除している過程だけに必ずしもそうした経験則が当てはまらないとの議論もある。そうかもしれない。イエレン前議長もそのような趣旨の主張をしていた。

だが、少なくとも米国経済がこれから過熱していくと思っている市場参加者が多ければ、フラット化や逆イールド化を心配するようなカーブの形状にはなるまい。フラット化それだけをもって不安を煽るのは不適切だが、米景気がこれから加速していくという想定もかなり無理がある。

6月のFOMC声明文やその後のパウエル議長会見でも、政策金利であるFF金利が「利上げの終点」と目される中立金利に接近している疑いが示唆された。これは、非常に分かりやすく言えば、これまで「正常化」と言われていた利上げが、はっきりと「引き締め」の意味合いを持ってくるようになるポイントが近づいているということだ。

イールドカーブのフラット化は、こうした状況を受けて企業・家計の消費・投資意欲が弱ってくる未来に構えたものと考えられる。

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