大学無償化は「第2の生活保護」になるかも…教育後進国ニッポンの悲劇

タダになるのは学費だけではない
マネー現代編集部 プロフィール

美容代、化粧品代まで……

たとえば支援機構の資料によると、サークル活動や自治会活動などに支出した「課外活動費」には、合宿費・遠征費・用具購入費などが含まれている。

対象外の趣味・娯楽・レクリエーションなどの費用とどう区別するのかも、明確にはされていない。

「保健衛生費」は文字通り、診療代や薬代だが、じつはここには理髪美容代や化粧品代、銭湯代が含まれている。

「その他の日常費」にしても、被服・帰省のための交通費、社会保険料などが入っており、その多岐にわたる手厚い支援はまさに至れり尽くせりの感が否めない。これでは「税金のバラマキ」と言われても仕方がない。

 

もちろん、国も無条件で授業料や生活費をタダにするわけではない。

高校段階の成績や学習意欲はもとより、大学進学後も1年間の必要取得単数の6割以下しかとれない場合や、GPA(平均成績)などの成績が下位4分の1に属するときは、大学等から警告されて、2年連続で警告を受けた場合は支給を打ち切られる。退学や停学処分などを受けた場合も同じだ。

ただ、じつはその支給打ち切りが厳格に行われる保証はない。

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ある政府関係者は、「いくら勉強に専念しても下位層から抜け出せる学生ばかりではない。2年連続で学業不振に陥るケースも必ず出てくる。そのとき機械的に一律打ち切りを行えば、政府や大学がバッシングを受けかねない」と悩ましさを語る。

そのため政府文書には、〈成績が下位4分の1に属するときに警告を連続で受ける場合も、斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例について検討する〉との例外規定がひっそり盛り込まれているのだ。

さらに、大学側が無償化対象者であることを理由に試験で甘い対応をする可能性も捨てきれない。仮にそんなことになれば、低所得者層の子供の学力育成という本来の目的から外れて本末転倒になりかねない。

定員割れ大学への延命措置

大学無償化の対象となる大学の「質の問題」も残されている。

無償化の支援措置の対象となる大学には「理事に産業界など外部人材を任命すること」などの要件が課されているのだが、一部専門家はその要件の甘さを指摘。「しっかりとした教育をする大学以外は対象にすべきではない」「定員割れが常態化している大学への延命策になりかねない」との辛辣な意見が出ている。

つまり、大学無償化の問題はまだまだ山積み。日本では政治が過剰に現場介入することが問題を招く様は「教育後進国」と揶揄されるが、このままではさらに事態が悪化しかねない。

ほかにも、大学無償化の年収条件をクリアするために、偽装離婚で不正に生活保護をだまし取るようなケースが起こらないという保証はなく、すでに政府内でも懸案事項として浮上している。

非大卒組からは「なぜ遊んでばかりいる大学生だけが税金で優遇されるのか」といった不公平感が高まりつつあるが、これにはどう答えるのか。

必要な制度であることは分かる。ただ、もう少し国民全体の議論が必要ではないだろうか。