大学無償化は「第2の生活保護」になるかも…教育後進国ニッポンの悲劇

タダになるのは学費だけではない
マネー現代編集部 プロフィール

生活費支援額を見積もると「年106万600円」ナリ

そもそもどうして授業料だけではなく、国が生活費まで面倒を見るのか。

閣議決定された政府のペーパーによれば、〈非課税世帯の子供たちを対象に、学生が学業に専念するため、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるよう措置を講じることとする〉とある。

言い換えれば、アルバイト三昧で学業が疎かにならないように、国が手当てしますというわけだ。

 

その是非はここでは一旦置くとして、国がどこまでの生活費の面倒を見るつもりなのかを見ておこう。

もちろんなにからなにまで学生の生活費すべてを支給するということはなく、対象は限られる。

具体的には奨学金を交付する日本学生支援機構の学生生活調査の経費区分に従って、①教科書・参考図書などの修学費、②課外活動費、③通学費、④食費(自宅以外から通う学生に限り、自宅通い学生の経費を超える額を措置)、⑤住居・光熱費(自宅外生に限定)、⑥保健衛生費、⑦通信費を含むその他日常費、⑧授業料以外の学校納付費(私立学校生に限定)としている。娯楽・嗜好費は社会通念上妥当ではないため除いている。

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気になるのは、それでどれくらいの生活費が「タダ」になるのかだろう。

文科省は「対象額は今後検討する」としているが、支援額の目安となるとされる支援機構の学生生活調査結果(14年)によると、もっとも費用がかかるとみられる一人暮らしの私大生の場合、①5万100円、②3万1200円、③2万6000円、④15万8600円、⑤42万9700円、⑥3万6400円、⑦15万100円、⑧17万8500円。

これを単純合計すると、じつに「106万600円」になる計算だ。

無償化が完全適用される非課税世帯の私大生のケースを考えると、授業料が上限約70万円まで免除されるうえ、年100万円超の生活費が返済不要の給付型奨学金で手当てされる可能性がある。これが「事実上の生活保護」であり、「ここまでやる必要があるのか」と指摘されるポイントになっているわけだ。

実際、生活費支援の中身を詳細に分析して見ると、確かにいくら非課税世帯の学生支援とはいえ、そこまでやるべきかと「疑問符」がつく部分も見受けられる。