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ただでさえ忙しい先生を、さらに苦しめる「5つのムダ」の正体

その「当たり前」が教師の時間を奪う
ご存知のように、先生たちはハードワークだ。その過酷な労働状況は毎日のように報道されている。しかし、どうしてそこまで忙しいのだろう。忙しさの原因はいくつもあるが、すべてが仕方ないものなのだろうか?
32校の小学校で教壇に立った現役の先生、須貝誠氏が自身の経験から、現場では当たり前のようになされている「5つのムダ」を指摘する。

先生の忙しさを助長する「ムダ」な時間

昨年、文部省が行なった調査(→速報値のPDF)によると、小中学校の教諭(先生)は平均で、1日11時間以上働いている。過労死ラインに達する週60時間以上働いた先生は、小学校では全体の33.5%、中学校では57.7%にものぼった。

現場で働いている私としても、この調査結果には納得だ。実際、毎日、夜11時に小学校を出るのが当たり前だという先生の存在も見聞きしている。

では、なぜ先生はここまで忙しいのか?

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ゆとり教育の反動で授業のコマ数が増え、その準備にあてる時間が増えたことや、部活動の指導に時間をとられることなどがまず挙げられるが、それ以外にも「ムダ」な時間の存在が、先生を忙しくさせていると指摘したい。

私は、小学校で当たり前のようになされている仕事の中には、ムダな仕事もあると感じている。

これから、その代表的な5つの「ムダ」を紹介するが、あくまで個人的な意見だ。少々、過激に思う箇所もあるかもしれないが、先生の忙しさに対する問題提起が本稿の目的であることを踏まえて読んでいただければ幸いである。

 

ムダ1:毎週の時間割づくり

時間割は、一般的には、4月初めに担任の先生から配られる。「1年間、使うから大事にとっておきなさいよ」「ランドセルに毎日、入れておくのですよ」などと言われた経験がある方もいるだろう。1年間、固定された時間割りだ。

担任の先生によっては、大きめの時間割と、筆箱ぐらいに入るミニサイズの画用紙でつくった時間割を配って好きなところに貼ったり入れたりするようにと指示していたかもしれない。

しかし今の学校の一部では、保護者用の手紙の中に「来週の時間割」が書かれる。ある週の月曜日が「国語・算数・理科・社会」だとしても、翌週の月曜日は「図工・図工・理科・国語」と変わることもある。授業内容や持ち物も一緒に載せる。

これは、時間割を確定してしまうと、決められた授業の時間数に足りない授業があったときに、変更しにくいからである。

しかし、毎週、時間割をつくることで、教師は忙しくなる。木曜日までには先を見通して、国語や算数、その他の授業を来週、何曜日の何時間目にするかまで、考えていなければならない。子どもには、金曜日に渡すからだ。これを毎週行なうのはムダ、そう言ってまずければ、負担である。

他にもデメリットとして、時間割を固定しない学校では、特別支援を必要とする子が落ち着かなくなることがある。

時間割には、1週間前に学習内容の予定まで載せているが、何らかの事情で、予定を変更しなければならなくなることがある。

特別支援が必要な子の中には、急な予定の変更が苦手な子もいる。体育をやる予定の時間を音楽に変えるとパニックになる子もいる。特別支援を必要とする子の対応に追われてしまう。結果、教師の忙しさが増してしまうのだ。

これらの事情から、「固定時間割にすべきだ」という先生がいることも確かだ。

ムダ2:誰も見ない掲示物づくり

大きな模造紙が、3枚、4枚……、と天井から吊されている教室がある。

学校には、校内研究という研修の時間がある。どんな授業をすれば子どもたちに力がつくのか、先生同士で学ぶ時間だ。

例えば、国語で「ごんぎつね」を7時間ぐらいで授業するとしたら、そのどこかの1時間を校内の先生達に見てもらう。7時間目を授業するとしたら、既に、模造紙が6枚掲示されている。模造紙1枚に、1時間ごとの授業内容が書かれているのだ。

7時間目の授業が終われば模造紙は7枚になる。時には、1時間の授業で2枚ということもある。