士官候補生の青春、防衛大学校「卒業ダンスパーティー」に潜入!

「アカシア会」の伝統をご存知か
伊藤 明弘 プロフィール

「ダンスをやって何が悪いか!」

辻委員 神宮外苑において長官がやられた観閲式の防大学生の行進を見ましたが、服装はよろしい。しかしながらほんとうの訓練は練馬部隊の一般兵の方が充実しておるという感じを私は受けておるのであります。教練は下手だがダンスが上手で防衛大学の目的を達成しておると思うのか。

その十四日の日、あまりのことにあきれまして調べると、学生は、これは校長の許可を受けておる。だれか職員が来ておるかと言ったら、竹下幹事(陸軍時代部下だった元中佐)が来ておる。そこで竹下幹事(陸将)呼び出して、君あまりひどいじゃないか、こう言いますと、ダンスをやって何が悪いかと言って私に食ってかかったのであります。

 

私は今ここでダンスのよしあしを議論しようというのじゃございません。あなたが言われたように、女性に対する交際を教えるのも防衛大学において必要だとおっしゃっておるが、社会人として価値のないものを作れというようなやぼな議論はしませんが(中略)、特殊の目的に訓練をされておる防衛大学の学生は、校長、幹事以下四十人の職員が参期して、人の目もはばからずに、あの東京の表玄関を借り切って、ダンス・パーティをやるということが的はずれでないとお考えになるのか。どうです。

槇説明員 ただいまのお話の通りでございまして、十四日には学生約二百人足らずのものが出て参りました。これは従来から、交際をするにはどうやったらいいかということにつきましてわれわれは考えておったのでありますが、まず第一に大切なことは、いい相手を選んでもらわなければならないというような考えから、りっぱな相手を選ぶということにつきまして、いろいろ横須賀地方におきましても、婦人会等の援助を受けてやっておりましたのであります。

しかしやはり東京におきますところの学生も多いので、その姉妹あるいは友人というものが集まるのが工合がいいという話が出ましたので、東京に一年に一回くらいはよかろう、こういうような考えから許したのであります。そうしてこれを一つりっぱにやるように――私自身はダンスをいたしませんが、一つそのやり方をりっぱにやらしてやろうと思って来ておったのであります。

しかし全体の訓練に対してこれがどういう影響を与えるかということを申し上げますと、これは決して悪い影響は与えておらないと思います。学生はりっぱに訓練もやり、あるいは体育の訓練もりっぱにやっておる。そうして卒業した暁にはりっぱな自衛隊員になり得るところの資格を備えて出ていっております。

あるいはそれは年々出ますところの約四百人ないし五百人の学生内には、われわれの思い通りにいかなかった者もあるかもしれませんが、しかしながら大部分においては間違いなくいっておるというふうに申し上げてもいいじゃないかと私は考えております。

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まったく時代を感じるダンスの「意義」だが、実際、槇校長の言うような効果はあったのだろうか。「防衛大学校10年史」をひもといてみると、アカシカ会について、こんな記述が見られる。卒業ダンスパーティーの実施によって、「それまでしばしばあった女性関係の過失はほとんど見られなくなった」。