写真提供:伊藤明弘氏

士官候補生の青春、防衛大学校「卒業ダンスパーティー」に潜入!

「アカシア会」の伝統をご存知か

知られざる「防大ダンス会」を取材

あまり知られていないことだが、日本は「社交ダンス人口」約150万人以上という、世界一の社交ダンス大国である。

全国津々浦々に教室があり、老若男女の紳士淑女が各種の社交ダンスを趣味としている。他のスポーツと比べて生涯続けられ、健康にも良いとされるのが魅力のポイントだ。役所広司主演の映画『Shall we ダンス?』(1996年)のヒットなども普及に大きく寄与したという。

だが、そんな社交ダンス大国・日本の中でも異色なのが、防衛大学校「アカシア会」なる社交ダンス委員会の存在だ。

筆者も昨年、防衛大学校を取材した際、初めてこの由緒正しい社交ダンス会の存在を知り、非常に驚き、取材を開始した。これまで、ほとんどマスコミの取材を受けたことがないという、神秘のベールに包まれた存在に迫ってみたい。そこには、まるで現代の「鹿鳴館」とも言える、堂々たる風格が漂っていた。

 

学生主催ながら「絢爛豪華」なたたずまい

そもそも、「アカシア会」は1955年(昭和30年)、「社交ダンスを通じて、正しい男女の交際、礼儀、社交性の場を与える」ことを目的に設立された。設立を認可したのは、防衛大学校の初代校長・槇智雄である。当初の名称は「あかしや会」。この名は、開校時に植林された木々の中で、アカシアだけがスクスク育ってことに由来するという。

会は自由活動という扱いだが、毎年、卒業式前に行われる「卒業ダンスパーティー」は、防衛大学校恒例の一大イベントとなっている。

2018年2月の「62期卒業ダンスパーティー」は、品川グランドプリンスホテル大宴会場「飛天の間」(610坪あり、大物芸能人がディナーショーを行うこともある都内最大級のホールだ)を貸し切り、約200名の学生が参加した絢爛豪華な3時間であった。

筆者も会場に入ることができたが、入場するとズラリと各種のフラッグが並んで飾られ、伝統と格式の高さを演出していた。エントランスホールでは、防大内の他の文化系クラブなどが、ピアノやロック演奏を披露してお出迎え。どれも素晴らしものだったが、個人的に筆者が目を引かれたのは、応援団リーダー部の独特な呼びかけ演説だった。

本会場前では、アカシア会メンバーによるデモンストレーションが行われ、初心者も踊れるように初歩の初歩から、曲別に指導している姿が見られる。

午後6時、本会場には高さ2mはあろうと思われる、校章を刻んだ立派な氷柱が出迎える。あまりの立派さに、会場に集った人々は記念撮影に余念がない。

[写真]防大の校章を刻んだ氷の彫像(写真提供:伊藤明弘氏)防大の校章を刻んだ氷の彫像(写真提供:伊藤明弘氏)

そして、いよいよダンスタイム。男子防大生は制服、パートナーの女性たちは華麗なドレスを身にまとっている。女子には防大生も他大学から参加した学生もいるとのことだが、ドレス姿なので、まったく見分けがつかなかった。

[写真]ダンスタイムの熱気に圧倒される(写真提供:伊藤明弘氏)ダンスタイムの熱気に圧倒される(写真提供:伊藤明弘氏)

ワルツ、タンゴ、チャチャチャ、スタンダードナンバーと、次々にダンスナンバーが繰り広げられていく。アッと言う間に3時間が過ぎ、エンディングでは防大での4年間を振り返るスライドショーがスクリーンに映し出されて、パーティーは大団円を迎えたのであった。