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金正恩氏をどう「利用する」のか…トランプの狙いが見えてきた

やっぱり眼中にあるのは、あの国だった

トランプが見せた「大人の態度」

「歴史的」な米朝首脳会談が終わった。内外メディアでは「具体策がなくみるべきものはない」との酷評が大勢である。

だが、これまでの「トランプ流」交渉術を考え合わせると、トランプ大統領にとって今回の会談は、当初から具体的な交渉を行う気はなく、まずは北朝鮮のキム委員長が気持ちよく交渉をするに足る人物かどうかを見極めるのが目的であったということではなかろうか。

そして、会談後の状況から推測すると、とりあえずは、キム委員長はトランプ大統領にとって、「今後も交渉する価値がある」とみなされたようなので、非核化、及び、北朝鮮の経済開発などの具体的な交渉の余地はまだつながっていると筆者は考える。その意味では、この段階でトランプ大統領を批判するのはまだ早いのではなかろうか。

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ところで、テレビ報道を視る限り、今回の会談で、トランプ大統領に、例えば、安倍首相と会談する時のようなにこやかな表情はみられなかった。むしろ、「次はどんな『ディール』を仕掛けてやろうか」という思いが頭を巡っているようにも感じた。

そもそも、国力からみて、アメリカにとって北朝鮮の存在自体は、「取るに足らない国」であろう。従って、北朝鮮の脅威を排除するだけの目的であれば、交渉などせずに強硬手段に訴えれば問題は早急に解決するはずである。

それをやらずにトランプ大統領がキム委員長に対してあえて「大人の態度」で接したのは、やはり、「後見人」である中国を意識しているというのは想像に難くない。

 

「トランポノミクス」の第一の目標は、「アメリカの覇権を取り戻す」というものであろう。これは、トランプ政権の経済・安全保障政策をレーガン政権のそれと比較するとわかりやすいのではなかろうか。

レーガン政権は、アメリカの安全保障上の覇権を脅かす存在として旧ソ連を意識し、国際経済上の覇権を脅かす存在として日本を意識した。そして、対ソ連政策として軍事支出の拡大を、対日政策として保護貿易的な措置をちらつかせるなどの貿易交渉を仕掛けた。

この2つの政策はその後の世界経済の構図を大きく変えたが、トランプ政権の場合、安全保障上の政策と国際経済上の政策がともに中国に向けて発動されていると思われる。

今年中間選挙を控えたトランプ政権にどんな審判が下され、その結果、トランプ政権が4年間といわず、2期8年持続することができれば、現在の状況の先延ばし(「中国経済が世界経済でのプレゼンスを高める」)という将来予測とは全く異なる世界が、10年後に実現しているかもしれない。

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