安倍政権が「終わる瞬間」はいつなのか?~森友調査報告書を精読する

区切りがついた、わけがない
山下 祐介 プロフィール

ふつうに読めば総理の「関わり」はある

この最後の点について、その後の麻生太郎財務大臣の国会答弁では、「総理答弁が問題行為のきっかけになったとは考えていない」と安倍総理や昭恵夫人の関係を否定してきた(6月5日衆議院財政金融委員会)。

しかし素直に報告書を読めば、この文書の書き手が改ざんのきっかけをこの発言においているのは明らかだ。そう読まない方がおかしいだろう。

公文書の中に首相夫人である安倍昭恵氏の名前があり、それを表に出さないよう隠したのが改ざん事件の核心であることを財務省が認めている。

こんなところに安倍昭恵夫人が登場していなければ、公文書改ざんなどという異常事態は生じなかったし、国会の空転などということもおきなかったと。

安倍総理はむろん、依然として自身の「関わり」を否定している。

しかし「関わり」という意味では、この報告書では明確に首相夫人との関係が確認されており、どう読んでも、森友学園問題をめぐる財務省文書改ざん事件に安倍首相との関わりがないとはいえない内容になっている。この事実を、私たちはこの文書からしっかりと拾い上げなくてはいけない。

ある土地取引の案件に、首相夫人が強く肩入れをはじめた。それもその学校当時者が夫人との関係を強調するにとどまらず、夫人との親しげな写真を示された上に、夫人付の職員から具体的な問い合わせまであった――このことが財務省の仕事を混乱させたことを財務相自身が認めているのである。

この責任は財務省にあるとはいえまい。たとえ悪気はなくとも、夫人が「李下に冠を正す」から、官僚たちの文書改ざんなどというおかしなことが起きるのである。

安倍総理には、総理として官僚装置を適切に動かしていく重大な責任がある。にもかかわらず、そこに不用意に夫人を近づけた(夫人が近づいた?)ことで生じた問題だ。

首相には明らかに関わりがあり、責任がある。財務省では一人が亡くなり、各方面から有能といわれた官僚が一人(二人?)、この件で辞めているのである。

「関わりはなかった」ではすまない。報告書はそのことを、今の財務省の立場上、可能な限りの記述で国民にうったえているように筆者には見えるのだ。

念のために述べておけば、この報告書は、森友学園が購入した土地の価格算定については何の検証も行っていない。

そしてこの土地取引の不当な値引き疑惑については大阪地検特捜部が立件をあきらめたのだから、法的には問題はないのかもしれない(ただし検察審議会での審議は残っている)。

しかし、たとえそうだとしても、財務省という我々国民にとって大切な精密装置に異常な作動を引き起こしたという現実は重く残る。

6月19日には会計検査院がこの改ざんについて検査院法違反であるとの経過報告も出した。総理はその責任を避けては通れないはずだ。

 

加計問題「新しい獣医学部の考えはいいね」の波紋

とはいえ、森友問題については、この先を突き詰めてもこれ以上の話は出ないのかもしれない。財務省理財局内でも明確な指示がなく、「空気」で物事が進んだということだから、首相からの指示もなかったのだろう。

そして森友学園では元理事長の籠池泰典氏が詐欺罪等で起訴され、長期拘束の憂き目にもあい、学校建設も挫折することとなったのだから、国民としてはひとまずよしとしよう。

問題はやはり、すでにこの4月に開学してしまった加計学園の獣医学部の方が大きいだろう。

そしてお友達としては、籠池氏とは比較にならないほど安倍総理と加計学園理事長の加計孝太郎氏は親しいのであり、度重なる二人の会合の記録が残っていて、つねにゴルフや会食をともにしている普通ではない仲なのである。

しかもこのところわかってきたことには、加計学園側では、愛媛県と今治市に加計理事長と安倍総理の架空の面談までもちだし、総理が「新しい獣医大学の考えはいいね」と言ったという作り話までしたのだという。

愛媛県の文書に残っているこの打ち合わせ内容が、学園の事務局長によれば「その場の雰囲気で、ふと思ったことを言った」ものなのだそうで、このことを加計孝太郎理事長も会見で確認し、「これから気をつけます」と述べている。自身の監督責任も認めて、給与の一部自主返納までするのだという。

この件もまた、どう転んでも安倍総理には分の悪い話だ。