医師は「治療=薬を出すこと」と洗脳されている

私的「減薬・断薬」放浪記【5】
上原 善広 プロフィール

睡眠薬や精神安定剤等はプラセボ(偽薬)でも効く

では一旦、睡眠薬や精神薬を始めてしまったら、どう対処していけば良いのだろうか。

「断薬は離脱、禁断症状との闘いですが、完全に薬を止めた後も、もともと薬に頼った原因を解決していく事が大切です。現代人はテレビなど、いろんな手段で知らないうちに洗脳されていますから、それにまず気づいて薬で何とかしようという意識を変えることです。

最終的には、薬を飲み始めたきっかけとか、心の悩みなどの原因をクリアにして、それに対処していかなければなりません。そうでないと、せっかく止めてもまた薬に手を出してしまいますからね。

 

不眠や不安から飲み始める人が多いのですが、睡眠薬や精神安定剤などは結構プラセボ(偽薬)でも効くだろうと思っています。安心と信頼さえあればアメ玉でも治るんですよ。『薬が効いたのではない。安心が効いたのである。患者さんは安心が欲しいのだ』とは、医者に向かって私が言いたい言葉ですね。

苦労はしますが禁断症状も薬をゼロにすれば、1年ほどでだいぶん落ち着きます。特に高齢者の体調不良は、精神薬だけでなく、血圧の薬なども含めて中止したらほとんどが良くなります」

「とくに高齢者は、薬を止めたら快調になるケースが多い」と松田医師は語るが、これは貴重な指摘だ。内科で出される薬には依存性がないものが多いので個人でもすぐに止められるが、睡眠薬や精神薬は離脱(禁断)症状が激しいので、松田医院では代替え療法でサポートする。

「うちでは漢方、鍼灸、サプリメント、心理セラピーなど、ありとあらゆるものを使って断薬をサポートします。薬は毒だから、抜くときにビタミン、ミネラルが必要なんです(市販のものよりも多量、高質のものを使う)。

受診の回数は、遠方の場合は月1回でもOK。原則は2週間に一度の受診です。毒(薬)を抜くと、激しい禁断症状で身体が疲弊します。がんばって完全に断薬した後も、すぐに治療をやめてはいけません。薬が体に溶け込んで残っているからです。サプリメントやセラピーも断薬後も体に残った毒(薬)を出すためにしばらく継続していきます。月に3~4万の費用はかかります。低収入の人には、月1万円程度からできることを提案することもあります」

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ただし「全ての人に即、断薬を勧めるわけではない」と言う。

「たとえば恐怖感、不安感が大きい人は、急に止めない方がいい場合もあります。恐怖感で禁断症状を必要以上に強く感じてしまうのです。禁断症状は神経、筋肉、五感だけでなく精神にもきますからね。

また、やめる勇気がない人は、過剰に頑張らないこと。断薬は勇気です。薬を飲んでいても日常生活が普通に送れるなら、それでいい場合もあると思います。精神薬の断薬をした方は禁断症状でいろいろ苦しまれはしますが、頑張っているうちに1年くらいしたら、だいぶん落ち着きますよ」

現在、何らかの薬を飲んでいる人に対するアドバイスを聞いてみた。

「薬に関して、みなさんに加えて言いたいことは、薬を飲んでいる人が、なんらかの新しい症状が出てきたら、まずは薬の副作用から考えるべきだという事です。そして、怖がらずやめてみるのです。すると、その症状が消えていく事が少なくありません。

調べたいときは、ネットでその薬の添付文書の副作用の項目を調べてください。その症状は大体、副作用の中でも『その他』の項目に書かれています、意外と正直にこっそりと書かれていますよ(笑)。今の医療は薬をドンドン足していく足し算ばかりする事が多い。だから引き算が必要なのです。それが『薬やめる科』なんです」

〈次回に続く〉

「金さえあれば差別なんてされへんのや! 」 大阪・更池に生まれ育ち、己の才覚だけを信じ、 食肉業で伸し上がった「父」の怒涛の人生。