医師は「治療=薬を出すこと」と洗脳されている

私的「減薬・断薬」放浪記【5】
上原 善広 プロフィール

薬を続けるのも地獄、止めるのも地獄

精神医療では、多剤多用が問題になって久しい。

どうしてこのようなことが起こるのか、疑問だったので「製薬会社から医師に対して、いろいろな形で報奨金みたいなのが出ているのですか?」と、私は直球で松田医師にたずねてみた。

「薬をたくさん出すと儲かると思っている方もいると思いますが、特に医薬分業になってから、薬を大量に出してもべつに儲からない。医者には処方料がせいぜい数百円入ってくるだけです。大学病院の偉い人とかはあるかもしれないけど、少なくとも今は開業医への接待はゼロです。開業医は一切、製薬会社からもらっていません。

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それでも医師が薬を出してしまうのは、大学などで薬を出す教育をずっと受けてきているからです。一種の洗脳です。多くの医師はよく勉強していますが、薬の効果ばかりに目が行き、副作用の事をすっかり忘れているのです。実際、患者を薬漬けしようなんて悪徳な医師は1%もいないし、9割の医師は悪気なんてないんです。

でも『治療=薬を出すこと』と洗脳されているので止められない。途中で気づいても、昨日までしていたことなので、プライドもあって途中で止められない。薬は必要なこともありますが、毒であるという認識をもつべきです。私の知っている患者さんなんか、一人の医師から24種類もの薬を飲まされていたこともありました。これなんかはもう、障害行為ですよ」

医師だけでなく、患者側の意識を変えることも重要だという。

「患者さんの方も、薬に頼っていた面があり、薬を減らしたくないと言う人もいます。患者さんも、散々薬漬けにされ依存しているから、今さらやめられない。睡眠薬などは1ヵ月ほどで依存しますね。すぐに眠れるようになるから依存するんです。

でも続けて飲んでいると副作用が出てきます。怖くなって止めようとすると禁断症状が出ます、どちらに行っても苦しいのです。まさに『前門の虎 後門の狼』です。

そんな目に合いたくないでしょう、だから病院なんていうのは、基本的に緊急以外、かからない方が無難なところなんです。医師と患者さん、両方が洗脳されている。この意識を変えない限り、状況は変わらないでしょうね」

 

さらに松田院長は、医療に関して日本は「情報鎖国」と断言する。

「精神薬の問題なんて、欧米では1970年代にすでに問題になっていたのに、日本では全く知らされてこなかった。巧妙に情報が隠されてきたからです。精神薬に対する対策なんて、日本は40年くらい遅れています。

今は官僚や政治家で気づいている人もいるのですが、声をあげれば左遷されるとか、下手したら命まで取られかねない。私も20〜30年前なら、社会的に抹殺されていたかもしれないですね。だから田舎がいいんです、目立たないから(笑)」