岸田文雄×太田雄貴「東京五輪で日本が魅せるべきもの、遺すべき事」

成功のためには、こんな発想が必要だ
現代ビジネス編集部

なぜ日本には…

太田 SFTには、僕ら日本フェンシング協会も参加しています。まずは南米など海外の子どもに向け、100~200点ほど道具を送りました。

岸田 それは喜ばれるでしょうね。サッカーやバスケットボールなどは、ボールひとつあれば手軽に始められるけれど、フェンシングのように道具が高価な競技だと、お金がなくてできないという子どもも少なくないでしょうから。

岸田文雄・自民党政調会長(左)/太田雄貴・日本フェンシング協会会長

太田 あとはコーチも派遣しています。スポーツ選手って、海外からやってきたコーチや監督と接するうちに、彼らの母国に興味を持つことがよくあるんです。日本フェンシング協会にも、ウクライナから2名、韓国、フランスから1名ずつコーチを招聘しているんですが、選手たちはみんなコーチの出身国が好きになる。

岸田 私も外相時代に痛感しましたが、スポーツを通じての国際交流はすごく重要ですね。スポーツ選手は、外国から来たコーチや監督と一緒に汗を流すうちに、自然とお互いの国の文化に興味を持ち、敬意を抱くようになる。国際的に活躍するスポーツ選手は「外交官」としての役割も担っていると思います。東京五輪が終わった後も、SFTのようなスポーツ外交は継続するべきでしょう。

 

太田 2020年以降のスポーツ界の課題としてはもうひとつ、ゼネラルマネジャー(GM)を育てることも急務です。海外ではどんな競技でも、予算をどこにつけるかとか、コーチをどう配置するかということを差配する優秀なゼネラルマネジャー(GM)がいるんですが、日本にはほとんどいない。スポーツを「マネジメント」できる人間がいないんです。

先ほど、ほとんどの日本の競技団体には、自分たちでマネタイズの絵を描くことができない、といいましたが、その原因のひとつは、GMがいないことにもあると思っています。

岸田 海外にはGMがいるのに、日本にはいない。なぜ違うんですか。

太田 ひとことで言えば、日本には「流動性」がないということです。ひとつの組織の内部だけで人材をやりくりして、外部から人材を登用するという発想に乏しい。極端にいえば、GMにはその競技の経験がなくても構わないんですが、日本の場合はどうしても実績を残した選手でないと組織の幹部になれない傾向がある。だから、外部から経営手腕を持った有能な人を招こうという意識が働きづらいんです。

岸田 その競技をやったことのない人間に何がわかるのかという思いもあるのでしょう。そのあたりの意識改革は必要でしょうね。