ZOZO社員の炎上が教える、一億総副業時代の「意外な落とし穴」

SNSが巨大リスクに…?
加谷 珪一 プロフィール

「個人的見解」は通用しない

社員によるネット上の活動を自由にした場合、社員の発言によって企業イメージが損なわれるリスクは増大する。今回の発言は、ZOZOの社員としてではなく、あくまで個人として行ったものだが、マスを対象とした情報発信において、こうした建前論はあまり意味をなさないことが多い。

実際、今回の発言に対する批判の矛先はZOZOにも及び、前澤友作社長のツイッターには、説明を求める意見が寄せられたほか、会社にも問い合わせがあった。田端氏は管理職とはいえZOZOの一社員に過ぎず、執行役員ですらないが、田端氏をZOZOの社長や役員と勘違いしたツイートは無数にある。

今回はそれほど大きな問題には発展しなかったものの、マス向けの情報発信というのは常にこういうものであり、騒ぎが大きくなってから事態を収拾するのは容易なことではない。両論併記に代表されるように、マスメディアの記事がつまらない内容に終始しているのは、マス向けの発信であることを強く意識しているからである。

今後、田端氏のようなスター・サラリーマンが増加し、自由でストレートな発言が増えてくると、企業の経営を脅かすような発言の事例も出てくるかもしれない。

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数年前、ヤフージャパンの社員が、自社サイトに寄稿している執筆者のコラムを口汚く批判し、執筆者が怒ってヤフーの執筆から降りるという出来事があった。

結局、ヤフーは社員を厳重注意にしたとされるが、メディア企業にとって自社の記事は、メーカーにおける自社製品と同じである。いくら個人的意見といっても、自社製品を社外で批判することが、企業人の振る舞いとして不適切であることは一般常識で判断できるはずだが、それでもこうした出来事は発生する。

 

ネット上での自由な発言を推奨する企業が増えてくれば、一般常識ではあり得なかったはずのトラブルが多数発生する可能性は想像に難くない。ヤフーのケースでは、自社サービスに対する批判だったので、あくまで内部的な問題で済んだが、他社に影響が及ぶ発言だった場合、会社はどこまで個人の問題として責任を回避できるのか微妙なところだろう。

これからの企業経営者は、社員に自由な発言を許可することで、それを社の宣伝に活用できたり、人材を獲得できるというメリットと、思わぬ事態が発生するデメリットの両方について検討する必要がありそうだ。